信者の値打ち

自分が信仰されることに重点をおき、この信仰に対して、だれにでも― たとえ十字架上の犯罪人であっても― 天国を保証する者は、恐ろしい絶望に苦しみ、あらゆる種類の苦業を知った者に違いない。そうでなければ、彼はその信者をそんなに高く買うことはしないであろう。 曙光 67

曙光の一書は、宗教絡みが多いですね。

信者の値打ちということで、催眠商法のようなものについてでも書いていきましょう。催眠商法の現場に潜入し、その実態を垣間見たことがあるので、その時の様子についてです。

催眠商法は、SF商法なんてな呼ばれ方をすることもありますが、いわゆるハイハイ商法であり、閉鎖的な空間に囲い込みつつ「これ欲しい人!」「はい!」などというやり方でテンションを変な方向に持っていって、最終的に高級(?)羽毛布団やぼったくり健康食品を一括定期購入させるような怪しい商売です。

なお、SF商法という呼称は、元祖催眠商法業者である「新製品普及会」の略・イニシャルから来ています。

本当に一日だけイベント会場借りて行うこともありますし、数ヶ月単位でテナントを借りて、催眠商法でハメた後はどこかに消え去るという感じで転々としていることが多いようです。

催眠商法 P

さて、僕は趣味と体を動かすという意味を込めて本当に稀にですが、友人に頼む形で、バイトに行くことがあります(そういえば最近は行っていませんね…)。

どんな仕事でもそうですが、客側としていっている分には見えない部分があって、お店サイド、会社サイドに立つと面白いほどいろいろな部分がよく見えるというのが楽しいという側面があります。

関係者サイドに立つと一般の立入禁止区域に入れたり、何食わぬ顔で潜入捜査ができるという面白さです。

こうした側面を利用し、昔勤め人だった時に、その勤め先の看板を利用して某宗教団体にあえて潜入したりして同僚と遊んでいました。

そんな感じで、会社を作ってからになりますが、何年か前に友人に頼んでバイトに行った時に、たまたま催眠商法と思しき店舗に潜入することができました。

もちろん僕がその催眠商法運営会社側というわけではなく、運送・納入業者というような位置づけで。

餃子とB’z

何だかんだでその催眠商法店舗には数回しか潜入していないので、全貌はつかめませんでしたが、特徴としては、おばあさんに餃子を食べさせつつB’zを爆音でかけるという感じでした。

個人的には、高級羽毛布団を期待していましたが、どうやら売っているものは健康食品系のようでした。

「商品の愛用者一覧」

とホワイトボードに写真と名前が掲載されていましたが、高齢者に合わせたものなのか、僕は誰ひとりとしてそれが誰なのかがわかりませんでした。おそらく催眠商法の対象者となる人達の年齢層に合わせたような有名人です。

その催眠商法現場には数回行きましたが、毎度毎度どんな曲が鳴っているのか少し楽しみで、

「今日はBLOWIN’でしたね」なんてな感じで楽しんでいました。

あとなんだかアイドル系っぽいのも流れていました。

齢80オーバーのおばあさんたちが爆音のB’zの中、餃子を頬張っているのは異様な光景でした。

しばらくして、またまた催眠商法現場への運送に行ったときのことです。運送納入前にビルの前に到着した僕は、おばあさんに声をかけられるのでした。

「今日、届いてる?」

「今から行きますよ」

「じゃあ戻ろ!」

と、完全に手の内モードです。

最終的にはどんな感じに着地するのでしょうか。

何か年間契約をローンで組むのでしょうか。

何となく入り口だけはつかめましたが、僕がつかめたのはここまでです。

催眠商法業者のテナントまで一緒に荷物を運んでいた「納入業者の人」によると、数ヶ月単位でテナントを転々としているようでした。まあ催眠商法の王道といえば、無料で何かを配って釣り、日用品を10円等で売り、「この商品欲しい人!」という感じか、無料健康セミナーみたいな感じで「楽しくワイワイ」で釣るかという感じですが、今回のケースでは、爆音の音楽と餃子という感じでした。

やはり現場で見た限り、印象としては、おばあさん達の目は少しイッていました。催眠にかかっているという感じでしょう。

信者の値打ち 曙光 67


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Category:曙光(ニーチェ) / 第一書

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