おもんなさの加速

何度も繰り返していますが、この世にはおもんないグループというものがあります。もちろん検索経由の方はわかりませんが、ひとまずはこのサイトの常連さんではないことは確かです。みなさんが、たとえばiPhoneの新機種が出るたびに有給をとって「バブルの父」と「ゆとりの息子」で発売2週間前に東京に出てきて並ぶような類の方ではないことは知っています。また、みなさんが、そんな方に差し入れをもっていくような類の方ではないということは以前から気づいています。

それはいつの時代でもあったものですが、インターネットの普及によりその露出がかなり増えてきました。露出が増えるだけでなく、おもんないグループが互いに絡み、認め合い、励まし合うので、そのおもんなさは史上類を見ないほど加速してきました。

純粋消費者による発信

それまでのおもんないグループは、目立ちたくても指をくわえて見ることくらいしかできませんでした。いいところ身近にいる同様の人種に「いいなぁ」と言われる程度で、せいぜい新しい家電を買って見せびらかすことくらいしかできませんでした。

それがインターネットの普及により、「発信」できるようになってしまいました。発信することによって、一人で悶々と考えることなく「いいじゃんそれ」が加速するようになってしまいました。しかしそのやりとりが笑われていることには気づいていません。しかも多数決で自分たちの方が多勢だと思えば、自分たちの方が面白いとすら思っているでしょう。そんな思い込みすら見抜かれて笑われています。

パソコンが普及するまでの絵かきは、売れずとも手でやっていました。ですのでひとまずはデッサンなどをかなりやりこんでいますが、それでもあまり才能がない、でも一応基礎的なことはやっているので、腕が磨かれることは磨かれます。

今はソフトがかなりのことをやってくれるので、誰でも簡単に「ちょっと変わったもの」くらいは作れます。ちょっとどころかかなり変わったものまで作れてしまいます。そこで問題なのはソフトの方ではなく使う側です。ひとまず撮った写真でも何重にも加工すれば奇抜なものが生まれます。それが「一風変わったもの」なので、芸術だと思い込んでしまいます。芸術を「とりあえず変わったもの」だと捉えてしまっている感性が絶望的ですが、それをさらに勘違いさせるのが「いいじゃんそれ」です。

実際にそういう会話もありますが、それがさらにソーシャルネットワークで繰り広げられます。

いいじゃんそれ

ところで、なぜ京都人にも関わらず「ええやんそれ」でなく「いいじゃんそれ」なのかは、もうお気づきだとは思いますが、それは京都に蔓延る田舎から出てきた学生が方言を隠すために標準語を使うからです。地元の言葉を嫌うような人が面白いわけがありません。京都に来て「エセ関西弁」を使っているのもどうかと思いますが、それはまだ発展途上なだけでなんとも思いません。微笑ましく思います。しかし、だいたいおもんない自称芸術家を褒め称えるのは関東圏出身でもないのに京都に出てきて標準語を使う大学生です。関東の方や標準語がおもんないわけでも悪いわけでもありません。

ダンスとカラオケ

おもんないグループの大好物がダンスとカラオケです。「踊ってみた」「歌ってみた」など、誰かの曲を「カバー」ならまだしも、顔出しは恥ずかしいのでマスクをしながら踊られてもコメントに困る、カラオケの画面を動画に収めながらの音痴な歌を聞かされても困る、と思った方はおもんないグループではないので安心してください。

「この曲最近ヘビロテ」などと呟いて「シェア」している姿をみてみなさんの心からは「お疲れさま」と意図せず声がすることを知っています。

ダンスとボーカル、これらは本来は極めて難しいものなのですが、ひとまず形になってしまいます。昔は大学の学園祭では楽器を持っての演奏をみんなしていましたが、最近は「踊り」ばっかりです。それも人間技とは思えないような踊りならまだしも、大勢で歌って踊るアイドルのコピーなど、どう取り扱っていいかわかりません。

本人たちは楽しいと思います。しかし見せられた人の気持ちを想像することがなぜできないのか、それはおもんないグループだからです。見せられた側の気持ちを考えてそれを意識するのは二流以下ですが、一応どんな気持ちがするかは三流以上ならわかります。見せるようなものではないということに気づけるのであればおもんないグループには入っていないはずです。個人的に楽しんでも人に見せようとは思わないものです。

本業で楽器を演奏しているような人はカラオケで歌わなかったりします。それは自分が声のコントロールができないことに嫌気がするのと、そんなものを聞かせたくないという気持ちが働くからだそうです。

振り付けつきの曲の動画を見てコメント欄に「振り付け覚えよっと」などと書き込むのは確実におもんないグループであり、純粋消費者がなにか手軽に「供給者」的な気持ちを味わいたいという事の表れではないでしょうか。

しかし、安心してください。おもんないグループは笑われるために存在しています。そういった特殊な笑いを意図せず供給してくれています。


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