春の七草のホトケノザ(仏の座)は、コオニタビラコ(小鬼田平子)、オニタビラコ(鬼田平子)など、主としてコオニタビラコで、キク科に属する越年草をさします。
このホトケノザ(仏の座)とは完全に別種で、こちらはシソ科オドリコソウ属です。キク科とシソ科の時点で全然違いますね。

ホトケノザ(仏の座)三階草の花
シソ科の方が本家といえば本家、こちらは紫の唇形状の花を付けます。12月ですが、花がついていました。三階草(サンガイグサ)とも呼ばれます。シソ科オドリコソウ属のホトケノザは、草丈は10~30cm。葉は対生で縁に鈍い鋸歯があります。紫色の唇形状の花をつけます。
春の七草のホトケノザとよく間違えられるということで、「食えるのか?」という疑問がわきます。一部では有毒かのように書いているようですが、はっきりはわからないようです。
みんな食べてる、にせもののホトケノザ(仏の座)(リンク切れとなりました)
いきなりのツッコミですが、シソ科オドリコソウ属のホトケノザ(仏の座)が偽物というのは少し変だと思います。なぜなら、春の七草の方はコオニタビラコという名前もあるので、謂わば春の七草の方のホトケノザという呼び方は「あだ名」みたいなものだからです。正確には「みんな勘違いして食べている、ほんもののホトケノザ(仏の座)」といった感じになりましょうか。
そんなことは大したことではありません。食用ではない=有毒という安易な記事の方が問題です。
これに関してはそんなに情報がなく、はっきりとはわからないようですが、様々な意見があります。ホトケノザの葉にも含まれるイリドイド配糖体はいろんな種類があるものの一般的に酸化すると毒性を示すことが多いようですが、それと「食用ではない」が合わさって勝手に有毒かのような取り扱われ方をしたのでしょう。一口に有毒といっても、飲んでいる水に含まれている微量の塩素だって無害ではありません。試しに塩素だけを大量に摂取してみてください。プールに含まれる塩素ですら目が真っ赤っかになるのに、無害ではありません。それと同じようなことかもしれませんね。
ホトケノザに含まれるイリドイド配糖体が苦味を出すので本能的に「あんまり摂るなよ」と反応しているのかもしれません。どの程度の反応をもって毒とするのか、というような議論になりそうなところです。
ホトケノザにはイリドイド配糖体という仲間の化合物が含まれています。この物質自体は他のいろいろな植物にも含まれていて、ある種の薬効があるようです。これを多量に摂取すれば毒かもしれませんが、少しばかり植物体を食べて毒ということはないでしょう。外国の文献によれば、ホトケノザの若い葉は食用に供されるそうです。ゆでで食べたり、サラダの香草として加えたりするそうです。
質問と回答 日本植物生理学会より(リンク切れとなりました)
中国の”中薬大事典”をみてみました.れっきとした薬用植物です.全草を宝蓋草(ホウガイソウ),接骨草等といいます.性は温,味は辛苦.腫れを消し,止傷,筋骨疼痛,四肢のしびれ,打撲傷等を治すと記してあります.成分は葉にイリドイド配糖体を含むようです.
”薬用だと思って安易に使用しないで下さい.私は食べていませんが,今年,市販の七草にシソ科のホトケノザが入った商品が有りました.中毒の情報は入っていません”
それよりも、どんな野草でもそうですが、土手や道端にも自生しているので、交通量の多いところならディーゼルから出る排気ガスの付着や動物の糞尿の付着の方が危ないですね。

ホトケノザ(仏の座)三階草の花2
「食べられない」という残酷な真実
春の七草として知られる「ホトケノザ」と、この紫色の花を咲かせる「ホトケノザ」は、名前が同じだけで全くの別物です。
七草粥に入れるのは、黄色い花を咲かせるキク科の「コオニタビラコ」です。対して、このシソ科のホトケノザには毒こそありませんが、独特の土臭さと青臭さがあり、決して食用には適しません。もし七草粥にこの紫の花を入れてしまったなら、それは春の祝い膳を台無しにする「苦い」思い出になってしまうでしょう。名前が生んだこの悲劇的な誤解を解くことこそ、彼らと正しく付き合うための第一歩です。
開かずに事を済ませる「沈黙の花」
ホトケノザの株をよく見ると、頂点の紫色の花の他に、その下の葉の脇に、小さくて赤い粒のようなものがいくつもあることに気づくはずです。これは枯れた蕾ではありません。
これは「閉鎖花(へいさか)」と呼ばれる、花びらを開かないまま自家受粉して種を作る、特殊な花です。寒い時期や、虫が少ない環境では、わざわざエネルギーを使って華やかな花びらを作る必要はありません。誰にも見られず、誰の助けも借りず、蕾の中でひっそりと確実に次世代の種を作る。彼らは「華やかな開放花」と「堅実な閉鎖花」という二つの財布を使い分けることで、どんな過酷な環境でも生き残るリスクヘッジを行っているのです。
アリを雇うための「白い報酬」
ホトケノザの種には、白いゼリー状の物質が付着しています。これは「エライオソーム(種枕)」と呼ばれる、脂肪分や糖分を含んだ「お弁当」です。
彼らは自分で種を遠くへ飛ばす力を持っていません。その代わりに、この美味しいお弁当を報酬として用意し、アリに運搬を依頼しているのです。アリはこの白い部分目当てに種を巣まで運び、お弁当だけを食べて、硬い種は巣の近くのゴミ捨て場に捨てます。そこは栄養豊富で、発芽に最適な場所です。動けない植物が、動く昆虫を「飛脚」として雇うための、完璧な雇用契約がここにあります。
建築としての「仏の座」
名前の由来となった、茎を取り囲むように付く葉の形。これを単に「面白い形」と片付けるのは勿体ないことです。
この葉は、仏像が座る「蓮華座(れんげざ)」に見立てられていますが、機能的には光を効率よく受けるための「階層構造」です。下の葉と上の葉が重ならないように、絶妙な角度でズレながら段々になっています。それはまるで、全ての階に光が届くように設計された近代建築のバルコニーのようです。雨が降れば、上の葉から下の葉へと水が受け渡され、最終的に根元へと導かれる。その姿には、宗教的な名前に恥じない、幾何学的な秩序と美が宿っています。
蜜泥棒と子供たちの記憶
子供の頃、この花のピンク色の部分を引き抜き、根元を吸って蜜を味わった記憶はありませんか? 実は、ミツバチ以外の虫たちも同じことをしています。
マルハナバチなどは、正面から入って受粉を助けるのではなく、花の根元に穴を開けて蜜だけを盗み取る「盗蜜(とうみつ)」を行うことがあります。彼らにとってホトケノザは、受粉のパートナーであると同時に、隙あらば蜜を奪われるコンビニエンスストアのような存在でもあります。あの甘い蜜の味は、虫と植物の攻防の味でもあるのです。
シソ科オドリコソウ属

シソ科
- シソ科シソ属 大葉(青紫蘇)とえごま
- シソ科メボウキ属 バジル
- シソ科ラベンダー属 ラベンダー
- シソ科サルビア属(アキギリ属)セージ
- シソ科マンネンロウ属 ローズマリー
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