コントラスト効果(対比効果)は、空間的または時間的に接近して二つの刺激が与えられた結果、同一感覚様式において受ける二つの刺激間の違いに生じる強化作用。酸味のものの直後に甘いものを摂取するなど、刺激が反対の性質であれば、この違いは大きく現れやすい。逆に甘い黄金糖を食べている時にそこそこ甘いはずのコーヒーを飲んでも苦く感じたり、添加物の味が良く感じられる、といったように相対的な差が少ないと、マスキングされるようなこともわかりやすい。
コントラスト効果(対比効果)のわかりやすい例は、飴を食べたあとに清涼飲料水を飲んでみることである。糖分の甘味でごまかされている他の成分の味が際立つはずである。
対比による判断を狙ったコントラスト効果
マーケティングのプロと自称する胡散臭いコンサルがよく吹聴するようなコントラスト効果は、複数の物やサービスが並べられていると、その中で一番低価格なものを「おお、安い」と感じる、というものである。
つまり対比する基準として、その対象の「大体の価格」の基準を知識として知った上でないと判断できないというものになる。
そこに「今が旬」などと、「安いのは旬で豊作だからなのだ」という説得を組み合わせれば、相対的に「お得感」がでる最安値のものへの購買意欲を駆り立てられてしまう。
物事の実質的・絶対的価値を捉えようとせずに、相対的な対比(コントラスト)で図ろうとする故の悲劇の一つである。コントラスト効果・対比効果は、そのままでは売れ残ってしまって廃棄の対象になってしまうようなもの、特に生ものなどを売り切るといったような局面でしか使ってはいけない手法である。それは「せっかく採れたのに消費されずに廃棄されるのはもったいない」というある種の思いやりなので構わないが、「儲けてやろう」と、コントラスト効果を用いて、高級羽毛ぶとんなどを売りつけたりしてはいけない。
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