
カリギュラ効果は、禁止されると余計にその行為をやってみたくなるという心理効果。禁止されると魅力が増すということで、それを逆手にとって広告屋が多用しすぎたせいで、最近では効果が薄れているのではないだろうか。
カリギュラ効果は、禁止されているからこそ魅力的に映るという店もあるが、禁止されることで不安になるという面も含んでいる。そうした不安は生存本能を刺激するものとなるため関心が向きやすいからである。
広告の効果を上げるために、わざと禁止にしたり、禁止を装ったりするというのが代表例となっているが、そのような釣りをする人たちを笑ってあげよう。
「禁止」への関心としてのカリギュラ効果
基本的にカリギュラ効果は、禁止されているからこそ効果がすごすぎるのかもしれないとか、一部の特権階級しか味わえないほどの良いものなのかもしれない、というような釣りである。希少性の原理と合わせて利用される心理効果でもある。
禁止されているもの、閉ざされているものを利用したい、見てみたい、というのは、欲への刺激という点もあるが、根本は「確認しておきたい」という不安感、恐怖心でもある。
18禁と書かれると18歳未満の方のムラムラを加速させるといったことになるが、このカリギュラ効果を知っているはずなのに、学校などではどうもそれと真逆のことをやってしまう傾向にある(それはどうしてであろうか。それはギムキョだからである。
「自分たちは決まりを守ってきたのだから、あなたたちも守りなさい」という思想がある。それは一種の怒りであり、支配欲でもある。そこで正しい思春期での黒い靴下が問題になりそうだが、わざと白い靴下しか履いてはいけない、というものに逆らったわけではないのであしからず)。
由来は映画「カリギュラ」が公開中止から
なお、カリギュラ効果の由来は、アメリカとイタリアの合作でローマ帝国の皇帝カリグラをモデルにした1980年の映画「カリギュラ」が公開中止になった時に逆に盛り上がってしまったことから。
「絶対に見ないでください!」や「〇〇とは?」
カリギュラ効果は、古くは袋とじや会員制、最近では胡散臭いアフィリエイター御用達の「絶対に見ないでください!」や「本気の方以外は見ないでください!」というような煽り文句、B層向け広告御用達の「本気の若返りに即効性のある話題の〇〇とは?」というような、意識が空白を埋めようとするようなもの、テレビのモザイクやピー音まで、ひとまず何かを隠すということをもって多用されている。
ネットの低レベルな記事にありがちな、「続きを読むには無料のメールマガジン登録が必要です」というようなものもこのカリギュラ効果を狙ったものである。
カリギュラ効果を狙ったような謳い文句
こうしたものは「絶対に見ないでください!」と言いながら、その裏ではカリギュラ効果を狙って、見てもらうことを欲しているという感じになる。
ということで「絶対に見ないでください!」という謳い文句や「〇〇とは?」という釣りを駆使している時点で、低レベルな人が配信しているとわかるため、本当に見なくても問題はない。
意識は空白を埋めようとする性質があり、禁止されているもの、寸止めされているその先にあるものを「把握して安心したい」という方向性を持っている。
しかし、カリギュラ効果を狙ったような「まだ絶対に見ないでください!」というような煽り文句が出てきた時には、「バカが低レベルな心理テクニックで釣ろうとしている」と思っておこう。
その手の人の心理誘導に反応している場合ではない。
カリギュラ効果を狙ったような謳い文句に釣られているようでは、胡散臭いアフィリエイターや広告代理店の罠に「引っかかた馬鹿な人」になってしまう。
そうした人たちは、カリギュラ効果で釣れるような人を、お金やPV数といった「数字」としか見ていない。
カリギュラ効果は禁止の先に予測する
「未経験の刺激」に対する衝動
カリギュラ効果は、禁止されているその先には未経験の刺激があるのではないか、というアイツの予測による衝動になるが、普通は「やってみたい」「見てみたい」「利用してみたい」というような欲の方が強くなってしまうと考えられる。
僕は昔から欲ではなく怒りしかやってこなかった。禁止してコントロールしようとする様や、こういう構図を使えば、人の欲を駆り立てられる、つまり「釣れる」と思っている浅い考えに、である。
「続きを読むには無料の会員登録が必要です」「袋とじ」などもこのカリギュラ効果を狙ったものであるが、僕は昔からそういうものに惹かれない。「そういう手法を使えば、コイツはもっと購買意欲を駆り立てられてくれるだろう」、という発想にキレていた、という方が正しいだろう。
今ではそういう消費者騙しのような無駄な努力は虚しいということを態度で示すようにしている(邪念のない盛り上げ程度ならいいですけどね)。
「みんなが憧れる理想の生活に興味のない方は見ないでください」
「本気でビジネスで成功を勝ち取りたい方限定です」
さあ爆笑してやろう。
カリギュラ効果の学術的背景と禁止が生む逆説的欲求
「見るな」と言われるほど見たくなり、「やるな」と言われるほどやりたくなる。この一見非合理な心理現象は、単なる天邪鬼な性格によるものではなく、人間の自由意志と自律性を守るために備わった、極めて根源的な防衛本能である。
心理的リアクタンス理論による自律性の回復
カリギュラ効果の学術的な正体は、1966年にジャック・ブレームによって提唱された「心理的リアクタンス(抵抗)理論」である。人間は、自身の行動を選択する自由を脅かされたと感じた際、その自由を回復しようとする強い動機付け(リアクタンス)が生じる。
禁止という行為は、選択の自由に対する明白な侵害である。したがって、禁止された対象への執着は、対象そのものの魅力というよりも、「奪われかけた自由を取り戻す」という行動それ自体が目的化している状態といえる。この反発のエネルギーは、禁止の圧力が強く、かつその自由が個人にとって重要であるほど増大する。
情報の希少性と認知的不協和の解消
この現象を情報の経済的価値という側面から説明するのが「商品理論(Commodity Theory)」である。心理学者ブロックは、入手困難な情報は、誰でも手に入る情報よりも高い価値を持つと論じた。禁止や検閲は、意図せずしてその対象を「希少なもの」へと昇華させてしまう。
また、禁止されることによって、「見るべきではない」という規範と、「見たい」という欲求の間に認知的不協和が生じる。人間はこの不快な緊張状態を解消するため、禁止された対象を過大に美化し、「見るだけの価値があるから禁止されているのだ」という論理的整合性を無意識に構築してしまう。これこそが、禁止が逆効果を生む認知的なからくりである。
神経科学が捉える報酬系の暴走
脳科学的な視点では、カリギュラ効果は「報酬予測」のエラーとして解釈できる。禁止という障害物が設置されることで、脳内の報酬系回路、特に腹側被蓋野から側坐核に至るドーパミン経路が過剰に刺激される。
障害があるほど燃え上がる、いわゆる「ロミオとジュリエット効果」も同様のメカニズムである。手に入りそうで入らない状況は、実際の報酬獲得時よりも高いレベルのドーパミン放出を促すことがあり、これが衝動的な行動(禁止破り)への強力なドライブとなる。理性を司る前頭前野の抑制機能が、原始的な欲求のドライブに凌駕される瞬間である。
ストライサンド効果と現代の検閲パラドックス
現代のデジタル社会において、カリギュラ効果は「ストライサンド効果」として可視化されている。特定の情報を隠蔽・削除しようとする試みが、かえってネット上の拡散を招き、世界中の注目を集めてしまう現象である。
情報の複製コストがゼロに近い現代において、物理的な「禁止」はもはや不可能に近い。最新の社会心理学では、情報を力で抑え込むのではなく、情報の文脈を操作し、人々の関心のベクトルを逸らす「ナッジ」や「フレーミング」の手法こそが、リアクタンスを回避しつつ行動を変容させるための現実解として研究されている。
困難・障壁・禁止による錯覚
こうした困難・障壁・禁止によって、価値が価値以上に高められてしまう錯覚には、カリギュラ効果の他、恋愛・交際における「ロミオとジュリエット効果」という概念もある。
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