不安がもたらす安易な行動ということで、不安が行動を促し、そうした情動が落ち着くとその行動を終えるという人と、安易な提案では満足できず矛盾を嫌う人たちについて書いていきます。
一時期女性向けウェブメディアのようなものが検索結果を汚染していた時期がありました。盗作のような形の転載が基本であり、安易な内容で不確実なものも数多くあり、信憑性の問題から一気に墜落しました。またそうしたものもちょろちょろ復活していくと思いますが、ここで考えてみたいのがなぜそうしたものに人が集まってくるのかという点です。
性差的に女性は男性よりも不安が大きいということをいろいろな文献で見たりしたことがありますが、確かに不安という感情が起こりやすいのでしょう。そして僕は個人的にもう一つの特徴があると思っています。
不安などの情動が落ち着くことがゴール
そうした不安を発端とした行動においては、不安を筆頭とした「情動が落ち着くこと」がゴールであり、本質的な論理はあまり意味をなさないということです。
「不安が起こりやすく、不安が落ち着くのであれば、中身はあまり気にしない」という構造が垣間見れると言った具合です。
日常ふとしたことで不安が起こりやすく、不安が起こった場合には手軽な検索行動という行動を取り、何かしらのハウツーや他人の意見を見ただけで情動が落ち着き、それで満足するということなので、そうした女性向けウェブメディアのようなものが多くのアクセスを獲得していたという感じなのではないでしょうか。
結局は、対象の本質などほとんどどうでもよく、何かしらの解決策のようなものが提示されていればそれだけで満足するという感じになっています。
良質な情報が大量の情報の中に埋もれていく
しかし、対象は異なるかもしれませんがまたすぐに不安は起こるので、また情動を落ち着けるために手軽な行動を取るというような構造になっていて、それは検索と安易なコンテンツページとの相性が良く、結果的にそうしたメディアがメディアとして成り立っていたということではないでしょうか。
そしてそうしたものが「需要のあるもの」として評価されると、本来評価されるべき良質な情報が大量の情報の中に埋もれていくことになります。
といった感じで社会が進んでいくと、「安易な提案では満足できず矛盾を嫌う人たち」が辟易するようになっていきます。
そして本質的には、そうした安易な情報がもたらすような提案からはより良い解決策は見出すことができません。
イメージ可能な「具体的な解決策」の方が評価され、根本問題にたどり着かない
例えば「にきび」について悩んでいる人に対しては「ニキビケア商品」といった「物理的な解決策」といったイメージしやすいものしか提案されないからです。
本来で言えば体の反応は最終的な結果であり、根本をたどっていくと心がすべての根源になるということになりますが、それではあまりに抽象的すぎてイメージすらできません。
イメージができないからこそそれは無視され、当座の安心のためにイメージ可能な「具体的な解決策」の方が評価されたりするという感じです。
本来ニキビ体質であろうと、そんなことは人格評価に何の影響も与えません。モテにも関係がないのです。
しかし、「他の人はどう思っているのだろうか?」という不安に対する提案として「みんなの意見」などを集めたりしたものを探そうとしたりします。
その根底にあるのは不安であり、不安がもたらす安易な行動と言う感じです。そして結果的にはただのお客になるだけという結末が待っています。
いわば「釣られた」ということです。
不安の払拭のための踏み台にされる
「ああこの人は、本質を追求したいのではなく自分が落ち着きたいだけなのだな」
そんな光景は社会生活を営んでいるといたるところで目にします。
もちろん大半のケースでは、不安感さえ解消できればそれで用無しです。ただの不安の払拭のための踏み台にされただけというケースも珍しくありません。
本質的な構造などお構い無しで、今の不安を払拭するような接し方をすればそれだけでいいのでしょう。
今の不安解消では納得できない人たち
しかし時には、そうした「今の不安解消」では納得できない人たちがいます。
まあ振り返って考えてみると僕はそのタイプに入るでしょう。
一時的な不安の払拭では満足ができないということです。根本から納得できないと気が済まないというようなタイプです。
こうした人達はもしかすると社会的にはマイノリティに属するのかもしれません。
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安易な提案では満足できず矛盾を嫌う人たちにおいては、そうした安易な情報に辟易したりしますが、社会に期待することもなければ辟易も起こりません。
所詮「みんなの意見や適当な解決策を見つけて落ち着きたい」という目的しか持っていない人や、そうした人たちに合わせて作られたものには、何の期待もしてはいけないという感じになります。
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