ラベンダー(lavender)は、シソ科ラベンダー属の耐寒性もしくは半耐寒性多年草(半木本性)です。
草丈は1m前後(マンステッド種などは50cm程度)で生育環境としては、日当たりのよい場所で、水はけのよい石灰質で砂質の土を好み、高湿を嫌います。ラベンダーの香り成分「酢酸リナリル」には鎮静作用や鎮痛作用があるようです。
ラベンダーの花
花の色は紫が一般的ですが、ラベンダーは種類が多く、品種によって、白、ピンク、ブルーなどの花のものもあります。
ラベンダーという言葉自体が一つの色を示しているくらいなので、紫系のラベンダー色が最も一般的ということになるでしょう。
品種によりますが、開花時期は7月から8月中旬です。
葉と挿し木
ラベンダーの葉は、淡緑、濃緑、シルバーグレーなど品種によって多種多様です。
ラベンダーは播種の他、挿し木でも増えます。ラベンダーの挿し木の発根は遅く、春で6~8週間以上かかります。若枝のほうが早く発根します。
ラベンダーの品種

ラベンダー Lavender
ラベンダーには、イングリッシュラベンダー(English Lavender)、(Lavender)フレンチラベンダー(French Lavender)、ホワイトラベンダー(White Lavender)、ツィックルパープル(Twickle Purple)、ロドンピンク(Loddon pink)、ドゥワーフマンステッド(Dwarf Munstead)、フォルゲイト(Folgate)、ヒドゥコート(Hidcote)、グラッペンホール(Grappenhall)、フリンジドラベンダー(Fringed lavender)、シール(Seal)といった品種があります。
学名:Lavandula species
標高が決定する「鎮静」の質
一口にラベンダーと言っても、その香りの質は育った土地の標高によって劇的に変わります。私たちが「癒やし」として認識している甘く深い香りの正体は、「酢酸リナリル」という成分です。
真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)において、この酢酸リナリルの含有量は、標高が高ければ高いほど増える傾向にあります。800メートル、1000メートルという高地の過酷な寒暖差から身を守るために、植物自身が作り出した成分が、結果として私たち人間に深い鎮静をもたらします。平地で育ったものが香らないわけではありませんが、高地の冷涼な空気を吸い込んだラベンダーには、より洗練された静寂が宿っています。
産業を支える逞しき「ラバンジン」
北海道の広大なラベンダー畑の写真を見て、すべてが同じ種類だと思っていませんか。観光用や観賞用、あるいは安価な香料として栽培されているものの多くは、「ラバンジン(Lavandula × intermedia)」と呼ばれる交雑種です。
これは真正ラベンダーと、低地に自生するスパイク・ラベンダーを掛け合わせたもので、圧倒的な成長速度と精油の収穫量を誇ります。しかし、その香りにはスパイク種由来の「カンファー(樟脳)」が含まれており、鼻に抜けるようなツンとした刺激があります。これは鎮静というよりは、意識をはっきりとさせる「覚醒」や、筋肉の痛みを和らげる方向へ作用します。プロの世界では、この二つを明確に使い分けます。夢心地に誘うのが真正ラベンダーなら、現実を生き抜く活力を与えるのがラバンジンといえるでしょう。
現代アロマテラピーを生んだ「火花」
ラベンダーの歴史を語る上で避けて通れないエピソードがあります。20世紀初頭、フランスの化学者ルネ=モーリス・ガットフォセが実験中に爆発事故に遭い、手に大火傷を負った際、とっさにそばにあったラベンダーの精油に手を浸したという話です。
驚くべき速さで傷が癒え、痕も残らなかった体験から、彼は精油の医療的な可能性に開眼し、「アロマテラピー」という言葉を造語しました。つまり、現代の私たちが享受している香りの文化は、静かなリラクゼーションから始まったのではなく、実験室の「痛み」と「衝撃」の中から生まれたのです。ラベンダーには、優しさだけでなく、緊急事態における修復者としての力強さが秘められています。
「蒸れ」という名の窒息
地中海沿岸の乾燥した気候を故郷とするラベンダーにとって、日本の高温多湿な梅雨と夏は、まさに地獄のような環境です。彼らが最も恐れるのは、暑さそのものよりも、湿度による「蒸れ」です。
葉が密集しすぎると、内側の風通しが悪くなり、株元から腐るように枯れていきます。これを防ぐためには、花が満開になる前、あるいは梅雨入り前に、心を鬼にして枝を透かす(すかす)剪定が必要です。「せっかく綺麗なのに」という人間の感傷が、ラベンダーにとっては命取りになります。美しさを維持するためには、時には厳格な管理と切り捨てる勇気が求められます。
「洗う」という語源への回帰
ラベンダー(Lavender)の語源は、ラテン語の「Lavare(洗う)」に由来すると言われています。古代ローマ人が入浴の際に湯に入れたり、洗濯物の香り付けに使ったりしたからですが、現代においてもこの「洗う」という行為は、物理的な洗浄以上の意味を持ちます。
疲れた精神、澱(よど)んだ感情、行き場のないストレス。そうした目に見えない汚れを、ラベンダーの香りは洗い流してくれます。ただ良い匂いがするから使うのではなく、一日を終えて自分自身をリセットする儀式として、この香りと向き合ってみてください。それは魂の洗濯とも呼べる時間になるはずです。
蒸留直後の「荒々しさ」と熟成
収穫したてのラベンダーを蒸留して得られたばかりの精油は、実は私たちが知っているあの良い香りとは少し違います。植物特有の青臭さや、時には「芋臭い」と表現されるような荒々しさを含んでいます。
ワインと同じように、精油にも「熟成」の時間が必要です。数ヶ月から一年ほど寝かせることで、尖った成分の角(かど)が取れ、それぞれの分子が調和し、ようやく円熟した芳醇な香りへと変化します。自然から奪い取ったばかりの生命力は強すぎますが、時間をかけることで人間に寄り添う柔らかさを獲得するのです。
シソ科
- シソ科シソ属 大葉(青紫蘇)とえごま
- シソ科オドリコソウ属 ホトケノザ(仏の座)
- シソ科メボウキ属 バジル
- シソ科サルビア属(アキギリ属)セージ
- シソ科マンネンロウ属 ローズマリー
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