キダチアロエ

キダチアロエ

キダチアロエは、ススキノキ科ツルボラン亜科アロエ属の多肉植物です。多肉植物のため乾燥には強いですが、日当たりは必要になります。

キダチアロエ2

キダチアロエ

切り傷や火傷用の傷薬的な扱いをされており、おばあちゃんがよく育てていたので馴染みの深い植物です。今でもチラホラ見かけますが、小学生の頃は近所中に植えられていました。

キダチアロエ 全体

キダチアロエ 全体

キダチアロエの名の通り、茎は木質化し幹になっていきます。成長すると3メートル以上となります。和名は木立蘆薈(キダチロカイ)で、この蘆薈(ろかい)はアロエを意味し、この和名は漢名の蘆薈(ろえ)から来ています。

あまり耐寒性がないため寒さに弱く、霜や凍結には注意が必要です。寒すぎる日は室内に移すか与える水の量を減らすなどの工夫が必要なようです。

キダチアロエの花

キダチアロエ 花

キダチアロエ 花

キダチアロエは、12月~2月に赤橙色の花を咲かせます。花被は管状で、花被片は6弁です。アフリカ原産ということで、葉のみならず花もアフリカ感がします。

キダチアロエ

キダチアロエ

ギザギザの葉

キダチアロエ 葉

キダチアロエ 葉

アロエということでおなじみの特徴的な多肉感満載のギザギザの葉。先は尖っています。

キダチアロエ 葉2

キダチアロエ 葉

薬用なだけでなく、食用でもあります。

学名:Aloe arborescens

黄色い「血」と透明な「肉」の境界線

キダチアロエの葉を折ると、断面から滲み出る「黄色い汁」と、内側の「透明なゼリー質」。この二つは、全く異なる役割と成分を持つ別物であることを、明確に区別しなければなりません。

皮のすぐ下にある維管束から出る黄色い汁には、「バルバロイン」という成分が含まれています。これは強烈な苦味を持ち、強力な下剤(瀉下作用)として機能します。植物にとっては、草食動物に食べられないための「防御毒」です。 一方、内側の透明な葉肉には、多糖類やビタミンが含まれ、保湿や修復を助ける癒やしの力が宿っています。苦味(薬としての毒)と、癒やし(保湿)。一つの葉の中に、拒絶と受容という相反する二つの顔が同居している。料理や美容に使う際、皮を厚く剥いて黄色い汁を完全に取り除くのは、この「拒絶」の部分を排除するための儀式なのです。

「木立ち」する者の生存戦略

スーパーで見かける巨大な葉の「アロエ・ベラ」と、この「キダチアロエ」。最大の違いは、その名の通り「木のように立つ(Arborescens)」かどうかです。

アロエ・ベラが地面近くでロゼット状に葉を広げるのに対し、キダチアロエは茎を伸ばし、枝分かれしながら立ち上がり、時には2メートルを超える藪(ブッシュ)を形成します。

これにより、彼らは地面の熱や競争相手を避け、立体的に空間を支配することができます。日本の狭い路地裏や軒先で、鉢植えから脱走したかのようにうねりながら巨大化している姿を見かけますが、あれこそが彼らの本来の姿(ブッシュ形成能力)なのです。重力に逆らって茎を硬化させる力、それが彼らの強靭さの源です。

アレキサンダー大王が求めた「戦略物資」

アロエの利用には数千年の歴史がありますが、最も有名な逸話の一つに、古代マケドニアのアレキサンダー大王があります。

彼は遠征軍の兵士たちの傷を治療するために、大量のアロエを必要としました。そのために、当時アロエの特産地であったソコトラ島(インド洋の島)を征服し、島ごと手に入れたと伝えられています。 当時のアロエは、単なる草ではなく、現代でいう「抗生物質」や「包帯」と同等の価値を持つ、軍事的な戦略物資でした。私たちがのんきに庭で育てているこの植物は、かつては王たちが血を流してでも奪い合った、命をつなぐための宝だったのです。

冬の空に灯る「赤いトーチ」

日本の冬、寒空の下でキダチアロエが真っ赤な花を咲かせているのを見たことがありますか?

多肉質の無骨な葉から、突然突き出される鮮やかな赤い円錐形の花穂(かすい)。それはまるで、灰色の冬景色に灯された松明(トーチ)のようです。故郷である南アフリカでは、この花蜜を求めて「タイヨウチョウ」が集まります。 日本では受粉してくれる鳥が少ないにもかかわらず、彼らは遺伝子に刻まれた記憶に従い、冬になると空に向かって情熱的な赤信号を灯し続けます。その孤高の姿には、異国の地で生き抜く植物の矜持(きょうじ)を感じずにはいられません。

最初の「処置」を間違えないで

「火傷したらすぐにアロエ」。これは正しいですが、救急法の視点では「順序」が命です。

熱傷(火傷)を負った直後、最優先すべきはアロエを塗ることではなく、「流水で十分に冷やすこと」です。皮膚の深部まで達した熱を物理的に除去した後でなければ、アロエの抗炎症作用も効果を発揮できません。 熱が残ったまま油膜のようにアロエを塗ると、熱を閉じ込めてしまうことさえあります。まず冷やす。そして、その後の皮膚の再生と痛みの緩和に、アロエというパートナーを招く。植物の力を過信せず、物理的な処置と組み合わせる冷静さが、傷跡を残さない秘訣です。

0度の壁と「崩壊」

キダチアロエはアロエ・ベラに比べれば寒さに強いですが、それでも限界点は明確です。それは「凍結」です。

水分を多く含む多肉植物にとって、細胞内の水が凍ることは即ち「死」を意味します。一度凍って溶けた葉は、細胞壁が破壊され、ブヨブヨの半透明になり、二度と元には戻りません。 冬場、霜が降りる予報が出たら、軒下に入れるか、不織布をかける。その一枚の布、数メートルの移動が、彼らの命(細胞の物理的な崩壊)を救います。彼らは強いですが、氷の刃には勝てないのです。

Category:植物

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語のみ