前回の予告通り、やたらと物をもらう「受け取り運」のようなものについて触れていきます。
僕の妻は、僕がびっくりするくらい人から物をもらって帰ってきます。主に食料品です。
僕は僕でどちらかというと物ではなくなぜかお金をもらうことがあります。勤め人時代、なぜかお客さんに「お金あげよ」といって相当な数の小銭の入った袋をもらったこともあります。
しかし人から物をもらう数と量で言えば妻には勝てません。
食料品の受け取りに関して言えば天才の域に入っていると思っています。
郵便を出しに行ってくると言って出ていくだけで、近所の人たちから野菜、果物、果てはヤクルトや花の苗までもらって帰ってきます(もちろんお返しもします)。
「小さいときからそうなの?」と聞いてみると、十代の時にアルバイトを始めてから徐々にそうなり、30代に入るとそれが完全覚醒したというような感じのようです。
妻の「受け取り運」の実力
妻の「受け取り運」の実力はというと…
最もそれが顕著にあらわれていたのは、勤めに出ていた時です。
当時、某小売店の店先に立っていたのですが、「お客さんたちから物をもらいすぎて持って帰れないから取りに来て」というレベルで物をもらっていました。
最高記録は一日で160サイズの箱2つ分くらいです。
さらに差し入れと言って、パンやコーヒーやお菓子をもらったりしてその場で消費したりした分を差し引いてその量です。
「田舎から送ってきたの」という理由でお裾分けいただいた野菜や果物といったものもさることながら、「夕食にどうぞ」と言って料理を作ってタッパーを渡してくる方までいました。
そして、「今日釣ってきた魚をもらってください」という場合もあったり、製麺所の事業主さんが定期的に大量のうどんをくれたりもしていました。
お返しをしようにも数が多すぎるのと店先であるのとで、子どもに飴をあげる程度だったそうですが(あまりに高頻度の人には何かしらのお返しはしていたそうです)、食料品のやってくる量が異常です。
さすがに我が家でも消費しきれない量、かつ、なま物も多かったので、今度はそれを近所の人にお裾分けせざるを得ないという状況になったことも一度や二度ではありません。
すると、今度はその近所の方々から大量のお裾分けがやってきます。
ということで、日々妻が人からもらってくる食料品で溢れかえっていました。
一応一般的に言われている点としては、狩猟採集社会において、女性同士は食べ物を少しずつ交換したり分け与えたりすることでコミュニケーションを取っていたということなのでその名残のような感じはしますが、妻が物をもらう相手は女性に限ったことではありません(ただ、男性からもらう場合はおじいさんからもらうことが多かったようです)。
どこからでもやってくる物たち
現在は勤めに出たりしていないので今ではそのような「勤め先の店先で物をもらう」という現象はなくなりましたが、娘と一緒に買い物に出かけるようになってからは、また異なった形で「受け取り運」が表面化していきました。
小さい子を連れていると声をかけられるというのはわかるのですが、ついでに物をもらってくることがよくありました。
やはりすごいなと思ったのは、ドラッグストアにて娘に対して「かわいいねえ」と声をかけてきてくださっただけの方に、またもう一度会った時「あんたを探しててん。はい、出産のお祝い」と高級ブランドのハンカチをもらったりしていたことです。
次に会った時に渡そうと、ずっとカバン入れていたそうです。
しかもその人は、うちの近所に住んでいる人ではなく、うちの近くに親戚がいて、たまに来るという程度の人です。
それから数ヶ月後、僕も妻と一緒の時にばったりその人とコンビニで会ったことがありますが、その場で購入されていたおやつとケーキ等々を「これ、持って帰り」と、レジの前で渡されるという現象に出くわしました。
そこで、「えっと、お知り合いか何かで?」と妻に聞くと、「ドラッグストアで声をかけてくださって、二回目にお会いしたときにハンカチをくれた方よ」という説明を受けました。
「いつも妻と娘がお世話になっています」
の一言です。
もちろんもらう一方というわけではない
ただ、妻としては特にもらう一方というわけではありません。
男の僕にはあまりわからない着眼点で、物を贈ったりもしています。
いつも行っている歯科医院の歯科衛生士の方が産休となると、ささやかなプレゼントと手紙を受付の方に渡したり等々、「へぇ、そこまでやりますかね」と思ってしまうようなことをよくしています。
おそらくそういう気遣いが、「受け取り運」に関わっているのでしょう。しかし何より、受け取りに抵抗がなく、贈る相手をほんの少し喜ばせる何かがあるのだと思っています。
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今でも食料受け取り運は最強レベルです。
その影響もあってか、果物を食べる時に娘が、「これはもらったやつ?買ったやつ?」と聞いてくるようになりました。
それくらいにもらってくるので、その分、近所や幼稚園関係もうまくいっているのだと思います。これは妻の才能だと思っています。
というちょっとした妻自慢でした。