まことに捨てがたきありさまなり

小学校中学年くらいの時のことです。

ボーイスカウト、というよりも当時カブスカウトだった僕たちのリーダーに荒俣宏氏と重複率97%くらいの人がいました。アリャマタコリャマタ氏にちなんで、この方をアリマタ氏と呼ぶことにしましょう。

関西弁ということを除き、顔もメガネも風貌も、声も話し方もすべて荒俣氏そっくりであり、カブスカウトのみんなからも人気のリーダーでした。

ある時、カブスカウトのハイキング中に誰かが

「アリマタさん、好きな歌はありますか?」

と質問しました。

するとアリマタ氏は

「そうですね、僕はね。忍たま乱太郎の歌が好きなんです。聞くと元気をもらえるんです」

と言いました。

おそらく息子さんと一緒に忍たま乱太郎を視聴されていたのでしょう。曲はもちろん勇気100%です。

その瞬間に僕は幼心にも

「あ、この人は絶対に幸せでいなければならない」

と思ってしまいました。

そして、森の中を少年たちと一緒に歩くアリマタさんを見て

「この人が幸せでい続けられる世の中が平和な世の中なんだろう」

というようなことを思ってしまいました。

そしてそのイメージは今でもそれほど変わっていません。

共に歩く森の中。

まことに捨てがたきありさまなり。

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