ヴェブレン効果
ヴェブレン効果(Veblen effect)とは、高級志向を意味し「羨ましがられたい」という心理に支えられた「高価で高級品であること」を理由にそれを支持する心理効果である。顕示的(衒示的、誇示的)消費の元となる心理効果として働く。なお、対象となる消費物はヴェブレン財と呼ばれる。 物の機能や本質ではなく、それが「高級品である」ことを理由に支持する心理であり、ブランド志向の根底にある心理であると言える。おっさんのベンツ、夜のドンキホーテでのルイヴィトン、そして徳川家の日光東照宮などが最もわかりやすいだろう。 奥にあるス
スノッブ効果
スノッブ効果(snob effect)とは、多数派嫌悪といった形で、多数の支持を集めているものを嫌う心理効果である。「人気のあるもの」を人気があることを理由に嫌い厭うといった心理である。 人気があるもの、多数派のものに対して「人気があるから嫌いだ」「多数派には便乗しない」という形で嫌悪感を示す。 このスノッブ効果は、単純にはバンドワゴン効果の完全逆バージョンであり、「勝ち馬に乗る」「多数に与する」ということを否定し、「多数に支持されているようなものに自分は同調しない」というのがスノッブ効果である。いわゆる「あまのじ
アンダードッグ効果
アンダードッグ効果(underdog effect)とは、判官びいきの「劣勢支持」であり、負け戦をしている側を支持し応援するという心理効果である。負け犬を応援するというような働きのことを指す。判官びいき効果と呼ばれることもある。 「判官びいき効果」と呼ばれる場合の「判官贔屓(ほうがんびいき、はんかんびいき)」とは、蓋然性の高い事実を元に冷静な物事の判断をしようとせず、弱い立場にあるもの、不利な立場にあるものに同情して判断を歪めることを意味する(狭義には悲劇の英雄に対する同情から起こる贔屓)。 劣勢にあるものを応援す
ポジティビティ・バイアス(ポジティビティ効果)とバランス理論
ポジティビティ・バイアス(ポジティビティ効果)とは、後述するバイダーのバランス理論(p-o-xモデル)を三者関係の認知の問題に適用した場合、p(自己)とo(他者)の間のポジティブな感情関係が全体構造に強い影響を及ぼすこと。 ネガティビティ・バイアス(ネガティビティ効果)とは異なり、自分と相手の間のポジティブな感情関係が全体構造に強い影響を及ぼして、相手への好印象が、相手や相手を含む周りの環境をも好意的に解釈するという効果を指す。 なお、ポジティビティ・バイアスには、複数の用法がありそのうちの一つは、寛大効果と同じ意
ネガティビティ・バイアス(ネガティビティ効果)
ネガティビティ・バイアス(ネガティビティ効果)とは、評価的にポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が情報価が高く、人が行う判断に大きな影響を及ぼす傾向があることを指す。生存本能による恐怖心が自我の根底にあるため、危険回避の方向性で解釈するのは当然であり、印象形成における情報統合過程では、ネガティブな情報はより大きな比重を示すということが、ネガティビティ・バイアスの要因として考えられる。 ネガティビティ・バイアスが生ずる原因としては、日常的に出現頻度の少ない情報にはより大きな注意が向けられるという点や、ネガティブ
ボッサードの法則
ボッサードの法則とは、物理的な距離が心理的な距離に影響を及ぼすという効果で、特に男女間の感情の親密度において物理的距離が近いほど心理的な親密感が増すという効果である。 「いかに近い距離にいるか?」が、両者の親密度に大きく関わるというような感じで、近距離恋愛や遠距離恋愛について語られるような「住んでいる場所」といった物理的距離をはじめ、部屋の中といった身近な空間における物理的距離も心理的な親密度に影響を与えるというような法則性である。 例えばこれは同じ学校に通っている間は仲が良かったものの、進学や就職により物理的な距
ゲインロス効果(獲得-損失効果)
ゲインロス効果(獲得-損失効果)とは、人が他者から褒められたりけなされたりという対人的評価を受けた場合、最初の評価から評価が変化した際における一貫性などが影響を及ぼすという現象を指す。ゲインロス効果は、心理効果の働き方の方向によって「獲得効果」と「損失効果」として分類することができる。 他者からの評価において、最初から最後まで正の評価をした人よりも、負から徐々に正へと変化した人の方が好かれるというのが「獲得効果」であり、最初から負の評価をした人よりも、正から負へと変化した人の方が嫌われるというのが「損失効果」である
リンゲルマン効果
リンゲルマン効果(Ringelmann effect)とは、社会的手抜き現象を意味し、一人で作業する場合と、たくさんの人で作業した場合を比較した場合に、一人あたりの作業量が低下する現象。作業を行うメンバーが増えれば増えるほど一人ひとりの出す力は弱まっていくというような効果である。 このリンゲルマン効果はいわゆる「綱引きを一対一でやった時と集団対集団でやったときでは、一人あたりの力の入り具合が低下する」といったような効果であり、「自分一人が行ったり頑張ったりしても仕方ない」という感じでバイスタンダー効果(傍観者効果)
ゴーレム効果
ゴーレム効果とは、期待された通りに悪い方になってしまうという効果で、「馬鹿だ」と言われ続ければそうした期待通りに馬鹿になっていき、「ダメ人間だ」と言われ続ければ本当にダメ人間になっていくという効果。消極的な期待のとおりに、成績やパフォーマンスが低下するという心理効果である。 言葉によって期待されたりしながら「期待される通りにそのような人間になっていく」というピグマリオン効果がネガティブに働いた場合を指し、周りの人間の期待と「成績や人格の形成」に因果関係があるのならば良い方にばかり働くのではなく悪い方にも働くというこ
エンハンシング効果
エンハンシング効果(enhancing effect)とは、内発的動機を持つ人には「すごいねー」などの言語的報酬・外部の称賛がやる気を生み出すという心理効果。自発的に好きでやっていることに対して、そのことを肯定されたり(認められたり)することで嬉しくなってしまうという効果で、アンダーマイニング効果を逆から捉えたような効果。 アンダーマイニング効果は、内発的動機づけによる行為に対して、お金などわかりやすい報酬を与えるなどの「外発的動機づけ」を行った場合逆にそれが目的化し、やる気がなくなっていくという「やる気低減現象」
クレスピ効果
クレスピ効果とは、報酬の量の急変によって行動が変化する現象で、報酬の量が減少した場合、やる気が無くなり行動が遅くなるという効果。単純には報酬の量は行動に影響を及ぼすという効果である。これは1940年代にクレスピ氏によって発見されたことから「クレスピ効果」と呼ばれる。 「報酬の量が減ればやる気が無くなる」といった形で報酬量の変化と行動の変化を示したのがクレスピ効果であるが、この「報酬」とは、動物ならば食物、人間ならばそれに加えて金銭的報酬といったものがそれにあたる。 クレスピ効果の実験 このクレスピ効果は、「ネズミに
アハー体験
アハー体験とは、ひらめき・気付きの感動の瞬間であり、「解決を模索しつつも行きづまる準備段階」や「問題との取組みを一時放棄するあたための段階」を経て、問題に取り組んでいるとき、または何気ない時に、突然問題の再構造化による解決を得て「あ!」、「は!」となる瞬間の心的体験を意味する。創造的問題解決の過程の最も核心部分である「ひらめき」を指すが、心理学用語ながらネットスラングレベルで「Aha!」という叫びから名付けられた。 創造的問題解決の過程 アハー体験とは、端的にはひらめきであるが、特に創造的問題解決の過程におけるひら
反復効果(繰り返し効果)
反復効果(繰り返し効果)とは、学習や記憶における単一試行に対する複数試行の異なる効果で繰り返すことにより、学習や記憶か進むという論ずるまでもない効果のことである。 当然ながら学習や記憶において反復(繰り返し)することで、正反応の増加や誤反応の減少、反応潜時の減少、そして対象のスキル化、知識の体制化などが起きる。問題に対する答えを正しく導き出しやすくなったり、間違いが起こりにくくなる、答えを導くまでの時間が短くなったりするというという感じで、反復によってそれがスキルとなり、また「知識」として染み付いてくるという感じで
グラスマンの法則
グラスマンの法則(Grassmann’s law)とは、ヘルマン・グラスマン(Hermann Grassmann)によって記述された加法混色に関する基本法則。 ヘルマン・グラスマンによって示された「グラスマンの法則」には、言語と色彩の分野があるが、ここではグラスマンの法則のうち、色彩に関する加法混色の基本法則を示す。色彩に関するグラスマンの法則は、第一法則、第二法則、第三法則、第四法則の4法則からなる。 第一法則 あらゆる色は3変数で表現することができる。 (いわゆるRGBによる表現) 第二法則 混色す
アブニー効果
アブニー効果(Abney’s effect)とは、実際の色の見え方は、彩度の低下とともに変化する現象のこと。理論的には、ある特定の波長の単色光(色光)に白色光を混色すると、その白色光の量に応じて色光の彩度のみが低下し、色相は変わらないと考えられるが、彩度の低下とともに色の見え方自体が変化してしまうことを指す。 実際の色相は変化していないはずであるが、彩度の変化によりそれを見る人間の目には色相が変化したように見えるというのがアブニー効果である。 アブニーの法則 アブニーの法則(グラスマンの法則 第四法則)
ウィーヴァー-ブレイ効果
ウィーヴァー-ブレイ効果(Wever-Bray effect/ウェヴァー‐ブレイ効果)とは、ウィーヴァー氏とブレイ氏よる電気生理学的研究報告において示された「猫の第八脳神経にあてた電極から導出した電流を増幅すると、元の音刺激である純音および音声が復元される」という現象のこと。音響に反応して内耳の蝸牛中のコルティ器官の有毛細胞に電位が誘起される現象で、蝸牛マイクロフォン効果とよばれることもある。 ウィーヴァー-ブレイ効果は、猫に音を聞かせ、猫の神経にあてた電極から導出した電流を増幅し音波にすると、話し声を容易に聞き分
時空相待 カッパ効果(S効果)とタウ効果
時空相待(じくうそうたい)とは、2つの刺激をそれぞれ短時間を継時的に呈示する時、その時間間隔の知覚は空間間隔に依存し、空間間隔の知覚は時間間隔に依存することである。 「空間間隔が長いほど時間間隔は長い」というカッパ効果(S効果)と「時間間隔が長いほど空間間隔は長い」というタウ効果を合わせて時空相待と呼ぶ(時空相対は佐久間鼎氏による造語)。 タウ効果とS効果(カッパ効果)を合わせて時空相待・時空相待現象と呼ぶ。 カッパ効果(S効果) カッパ効果(S効果)とは、2つの刺激をそれぞれ短時間を継時的に呈示する時、空間間隔が
位置の恒常性とキュクロプスの眼
心理学のうち、物の見え方や知覚に関する位置の恒常性とキュクロプスの眼について。 位置の恒常性やキュクロプスの眼は、対象物を目で見るという場合においても、「物を見るときの物理的な位置関係」が直接の因果関係として成り立っているわけではないというような点について重要な示唆を与える。 位置の恒常性 位置の恒常性とは、物を見るとき、見える位置が網膜の刺激部位だけでなく、頭部や眼球の位置によっても決定されるというような性質のことである。頭部や眼球の運動によって対象から発した光によって刺激される網膜の部位が変わった場合でも対象の
心理学 一覧
書庫の心理学系のページ一覧になります。心理学に関する心理効果や理論、原理、現象などについて掲載しています。 心理学を勉強するのは結構ですが、このような浅知恵は雑誌程度の知識であり、他人をコントロールしようとする「恐怖心」から「知っておかねば」と思っているか、お金持ちになる、モテる、など「把握して出し抜いてやる」というものかもしれません。すべて根底は恐怖心ですから、他人の心より自分の心を観察してください。学問や雑談程度の心理学では限界があるかもしれませんが、「この程度だ」と知ることは良いのかもしれません。 心理学 あ
連合の原理
連合の原理は、2つの対象・現象が互い関連し結びついていると錯覚することである。教義には感覚や観念の連合の法則を意味し、刺激反応結合による習慣形成の法則を意味することもある。 これは邪な管理者が、会社の金で買ってきたのに自分が好かれるだろうと思っている、ということに近い現象である。つまりみんなで稼いだお金で、本来は給料としてもらわなければならないのに、それを支給することなく、差し入れを買ってきて、「コーヒー」を持ってきてくれた人=この人はいい人、という全然関係ない錯覚を呼び起こそうとしているようなものである。 コーヒ
リフレーミング効果
リフレーミング効果は、特定の認知の枠組み、つまり常識による固定観念や判断基準など、ある枠組み(フレーム)で捉えられている物事をその枠組みを外して捉えてみると気分が変わったりするというような効果である(ということで、自己啓発系が大好きな言葉である)。フレームを変更することをリフレームと呼ぶ。 リフレーミング効果の自己啓発での応用は「固定観念の縛りから解放される」といったものや「潜在意識のストッパーを外して成功者に」というような言葉で代表される。もちろん、実際にある観念によってフィルタリングされた認識の枠から飛び出ると
リープマン効果
リープマン効果は、同じ色度で異なる輝度/異なる色度で同じ輝度の場合では、後の場合のほうが対比すべき形を見分ける時に識別が容易となる現象。シマ柄や格子柄では、隣接する色が「黒と白」「黒と黄」のように明度差が大きいほど見えやすい。 隣接する2つの領域の色相が異なっていても、明度が同等もしくは似ている場合は、違いがわからなかったり、わかりにくかったりする現象。 リープマン効果の要点としては、縞柄や格子柄、文字に枠をつける際において、隣接する色の明度差が小さいとチラつくようなハレーションが起こるが、色の明度差が大きいとそう
ラグ効果
ラグ効果(フラッシュラグ効果、flash-lag effect)は、運動する光点の真下の位置で別の光点を一瞬点灯すると、実際には二つの光点が垂直位置にあるにもかかわらず、運動する光点が運動方向に若干ずれた位置に知覚される現象。運動しているものとは別の場所から光を当てると、運動している側の光が若干遅れて知覚されることによって起こる。 このフラッシュラグ効果は、網膜に刺激が与えられてから知覚が成立するまでに約80ミリ秒から100ミリ秒の遅れがあるために起こる錯覚。つまり、現実をリアルタイムで見ているわけではないというこ
マッチングリスク意識
マッチングリスク意識とは、何かを買うときに「これは本当に自分に合うのだろうか」という不安感である。ただこの手の不安は、想像力を鍛えれば、というより本質だけをきちんと見る癖をつければ簡単に脱却できる。 「本当に自分に合うのだろうか」という不安感 買い物をする時に「もしかしたら損をするのではないか?」とか「もしかするともっと良いものがあるのではないか?」というような妄想が始まり、「目の前の商品は本当に自分に適したものなのだろうか?」という不感がやってくるのがマッチングリスク意識である。 こうしたマッチングリスク意識があ
マスキング効果
マスキング効果は、ある音が他の音によって妨害・遮蔽されて聞えなくなる現象。2つの音が純音、周波数の差が小さいほどこの効果は大きい。一般に低音は高音をよく遮蔽するが、高音の低音に対する遮蔽効果はそれほど。 このマスキング(masking)は聴覚だけでなく視覚や触覚などでも見られるが、最もわかりやすいのは聴覚マスキング(auditory masking)である。 聴覚マスキング マスキング効果が大きいときは、音の強度を大きくしなければ聞き取ることができなくなる。マスキング効果の程度は、他の音の存在によって最小可聴値(t