昼顔(ひるがお)は、ヒルガオ科つる性の多年草。アサガオ同様朝開花しますが昼になっても花がしぼみません。昼顔の花の形は漏斗形で、夏に薄いピンクから紫色で直径5~6cmの花を咲かせます。なお、黄色のヒルガオの花は無いそうです。苞葉(ほうよう)が萼(がく)を包み込むので、帰化植物のセイヨウヒルガオと区別できます。
秋の七草の朝顔は昼顔とする説もあるそうです。

昼顔
昼顔(ひるがお)はつる性の多年草で、地上部は毎年枯れ、春から蔓が伸び始め、夏にかけて道ばたなどに繁茂します。
昼顔の花
昼顔(ひるがお)は、朝顔と同様に朝に開花しまずが、そのまま昼になっても花がしぼまないことから昼顔というようです。昼顔の花の形は漏斗形で五本の曜(よう)を持つ直径5~6cmの花を咲かせます。
朝顔と昼顔の花の違いは五本の曜(よう)
朝顔と昼顔の花の違いは放射状の五本の曜(よう)がくっきり出ているかどうかというところのようです。
朝顔と昼顔の違い
また朝顔と昼顔の違いとして開花時間や花の違いの他、葉の形状の違いもあります。
朝顔はM字型ですが、昼顔はスペード型から桃の葉のような細い葉です。
朝顔は小学校で育てたり、鑑賞用に栽培されることがよくありますが、昼顔はほとんど無いようで、一度増えると駆除が難しいため、大半は雑草として扱われるようです。知人宅に昼顔が繁殖しており、ガレージの屋根を覆い尽くしたりしていました。
アサガオとの決定的な違い「苞葉」
遠目にはアサガオと見間違えることもありますが、私たちプロフェッショナルは花の後ろ姿を見て一瞬で判断します。アサガオのガクが剥き出しであるのに対し、ヒルガオは2枚の大きな「苞葉(ほうよう)」でガクをすっぽりと包み込んでいるからです。
この構造は、単なる装飾ではありません。大切な蕾やガクを、食害や乾燥から徹底的に守るための「鎧(よろい)」のような役割を果たしています。また、アサガオが種で命をつなぐ一年草であるのに対し、ヒルガオは冬に地上部が枯れても地下で生き続ける多年草です。この苞葉の堅牢さは、長く生き抜くために備わった慎重さの表れといえるかもしれません。
地下を支配する白いネットワーク
可憐なピンクの花からは想像もつきませんが、ヒルガオの真の姿は地下にあります。白く太い地下茎(ちかけい)を四方八方に伸ばし、その再生能力は驚異的です。
草むしりの際に地上部をちぎったとしても、土の中にわずか数センチでも根が残っていれば、そこから再び芽を出し、完全復活します。農業従事者にとっては「一度侵入されたら根絶は困難」とされる厄介者ですが、見方を変えれば、これほどまでに強靭な生存システムを持った植物は稀です。どんなに踏まれても、刈り取られても、地下に潜って時を待つ。その姿には、逆境における忍耐の極意を見る思いがします。
「容花」と呼ばれた美の基準
万葉集の時代、この花は「容花(かおばな)」と呼ばれていました。「容(かお)」とは、美しい顔立ちや容姿そのものを意味します。つまり、当時の人々にとって、ヒルガオはただの雑草ではなく、美しい女性の顔を形容する際の最上級の比喩でした。
「高円(たかまど)の 野辺の容花 面影に 見えつつ妹(いも)は 忘れかねつも(大伴家持)」。野に咲くヒルガオを見るたびに、愛しい妻の面影が重なって忘れられないという歌です。雨上がり、水滴を弾いて艶やかに咲くその姿には、現代の園芸植物にはない、野趣あふれる凜とした色気があります。
薬草「旋花」としての効能
観賞用としてだけでなく、ヒルガオは古くから「旋花(せんか)」という名で生薬としても利用されてきました。
花や葉、そして根を乾燥させたものには、利尿作用や強壮作用があるとされています。体に溜まった余分な水分や熱を排出し、疲れを癒やす。かつての人々は、美しい花を愛でるだけでなく、その体を自らの健康維持のために役立てていました。ただし、作用が強いため、専門的な知識なしに利用することは避けたほうがよいでしょう。毒と薬は紙一重であり、その境界線を知ることも植物と付き合う上での作法です。
コヒルガオとの微細な境界線
道端でヒルガオを見つけたとき、それが「ヒルガオ」なのか「コヒルガオ」なのかを見分けることができれば、散歩の解像度が上がります。
ポイントは花柄(かへい)にあります。花の下の茎の部分に、縮れたような「翼(よく)」と呼ばれるヒダがあれば、それはコヒルガオです。つるっとしていればヒルガオです。サイズの違いよりも、この茎の質感の違いが決定的です。コヒルガオの方がやや都会的で、乾燥した場所を好む傾向があるようです。同じように見えても、それぞれが好む場所を選び、微妙に異なる進化の道を歩んでいるのです。
虫たちとの共生戦略
ヒルガオのラッパ型の花は、ハチなどの昆虫が着陸しやすい滑走路のような形をしています。奥深くに蜜を隠し、虫がそこへ潜り込むことで確実に受粉を行うシステムです。
特に、ヒルガオの花粉を好んで集める特定のハチも存在します。彼らにとってこの花は、夏の盛りに安定して食事を提供してくれる食堂のような存在です。人間がどれほど駆除しようとしても、虫たちが花粉を運び、地下茎が伸び続ける限り、この共生関係のサイクルを止めることはできません。自然界のつながりは、人間の都合よりも遥かに強固です。
亀田氏選夏草七種 夏の七草
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