葛(くず)

葛(くず)は、マメ科クズ属のつる性の多年草。根から葛粉や漢方薬が作られます。奈良に行くと葛粉がたくさん売っていますね。もちろん葛根湯の葛根は字のごとく葛の根です。根を細かく刻んで蒸して食べることができるため、かつては救荒植物として飢饉の時に活躍したようです。葛の花にもイソフラボンが入っていて生薬として使われるようです。

クズの自生環境は、道端、荒れ地、河原などで、地面を這うつるは、他のものに巻きついて10m以上に伸びて、全体に褐色の細かい毛が生えています。極めて繁殖力が強く、林を覆うようにつるが絡み合って繁殖するということも珍しくありません。クズのつるから葉が落ちた後は「葉痕」とよばれ、維管束の痕が3つあって人の顔というか骸骨のようです。

葛(くず)の葉は大きく長柄があり互生し、三出複葉で、小葉は草質で幅広く大きく、葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びています。頂小葉は、幅が10~15cmの広楕円形か菱丸形で、ときに三浅裂します。つるをどんどん伸ばして。大きな葉を出して藪を覆い尽くします。

基部は木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、澱粉を蓄えます。長さ1.5m、径は20cmと、広い範囲で根を下ろすので繁茂力が高いようです。根茎から増殖するので、地上部のつるを刈り取っても地下に根茎が残り、すぐにつるが再生するので、どんどん繁殖していきます。新芽の頃はやわらかな白い毛で覆われています。

葛(くず)の花は秋(8~9月)に咲き、穂状花序が立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香をもつ花を咲かせます。マメ科特有の蝶形花です。花穂は下から順に開いていきます。花後には茶色の剛毛に覆われた扁平な莢の豆果を結びます。剛毛は手に刺さることもありますので注意が必要です。種は茶褐色で黒系の斑紋が入っています。なお、葛花は二日酔いの薬として捉えられることもあるようです。

葛の根・つるの利用

この葛(くず)の根が、葛根(かっこん)として薬用されたりします。主要成分は、プエラリン(puerarin)などです。またこの根を水の中に入れデンプンを取り出したものが、葛粉であり、葛きりや葛餅などに利用されたりします。

奈良県吉野郡吉野町の吉野葛が有名ですが流通量は少なく、全国的に葛粉として販売されている市販のものはじゃがいものデンプンであるものや、葛澱粉と混ぜられたものが多いようです。なお、純粋な葛の根のデンプンのものは「本葛」と呼ばれています。

クズのつるの繊維はしなやかで切れにくく、古くから結束に利用されてきたようです。また、内皮の繊維を意図として織った葛布は、強靭で耐久性があるため、現在でも襖張りなどに使われます。

葛(くず)、葛花も、秋の七草です。

マメ科

Category:植物

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