三葉・三つ葉(みつば)は、セリ科ミツバ属の多年草で、山地の日陰(林内)に自生します。草丈は40cm。開花期は6 ~8月です。名前の由来はもちろん葉が三枚であることから。
三葉の葉の形状は卵形で先が細くなり尖っており、互生し、3出複葉です。縁にはぎざぎざとした重鋸歯があります。セリ科には珍しく、花序は傘状には広がりません。
三つ葉の花(蕾)
三つ葉の花は白で雄蕊は5つ、柱頭は2つです。果実は5mm程度の長楕円形で、果実落下後は地上部は枯れてなくなります。しかし多年草なので、越冬してまた芽を出します。
6 月から8月に5枚花弁の白い小さな花を咲かせるようです。一度見てみたいですね(蕾ですが画像を追加しました)。
三つ葉の香り
三葉(みつば)もセリ科ですが、うさぎの大好物です。江戸時代から食用とされ、蕎麦やお吸い物に最適な日本を代表するハーブですが、よく水耕栽培されているようです。
香りと味の面で言えば、三つ葉と山椒の組み合わせは絶品であり、その上に柑橘の皮など用いるとさらに料理のグレードが上がります。
そんな感じで三つ葉は主に和食において香り付けとして利用されますが、香りが素晴らしいだけでなく実際に有効成分が含まれていたりします。三つ葉の香り成分としてミツバエンやクリプトテーネンという成分が含まれているようですが、これらには食欲増進作用に加え鎮静作用があるようです。
我が家では昔から言い伝えとして「興奮を鎮めるには三つ葉の香りを用いなさい」ということが伝統としてあり、よく三つ葉を食べさせられた記憶があります。もしかすると家系的に怒りが強い気質だからこそ、そうした伝統があったのかもしれません。「落ち着いて試験が受けられるように」と、テストの日の弁当に含まれていたりしました。父も昔資格試験を受けに行く時に三つ葉を持たされたりしていたようです。
余った三つ葉を育ててみる
毎度のごとく冷蔵庫の中で育ってきたものや、料理を作る際に切った三つ葉の根本などなど、余った三つ葉をプランターに挿して育ててみるということもたまにしています。
三つ葉は、セリ科なのでたくさんの水を吸いますし、水耕栽培もされているくらいなので最初は水につけるくらいで十分です。
ある程度根が成長してきたらプランターに挿して水を欠かさないようにしていれば、そこから育ってくれたりもします。根が短いと水をあまり吸えないようで、育つ前に水分不足になってしまうということが起こるため、ある程度の根の長さは必要になるという感じです。
我が家では、そうして育て始めた三つ葉が花をつけ、実を結び実が落ちて知らぬ間に翌年に三つ葉が生えてくるということが起こっています。
亀田氏選夏草七種 夏の七草
「三つの顔」を持つ変幻自在な役者
スーパーの野菜売り場には、実は「三種類」のミツバが並んでいることに気づいていますか? 「糸ミツバ」「切りミツバ」、そして「根ミツバ」です。これらは品種が違うのではありません。同じ種を、人間がどう育てるかという「環境」だけで、全く別の野菜へと作り変えているのです。
私たちが普段目にする、スポンジについた水耕栽培のものは「糸ミツバ」。これは効率を追求した現代の顔です。一方、光を遮断して白く軟らかく育てた高級品「切りミツバ」は、深窓の令嬢のような繊細さを持っています。そして、畑で土寄せをして根ごと掘り上げた「根ミツバ」は、野生の荒々しさと濃厚な香りを纏(まと)っています。同じ遺伝子を持ちながら、育て方一つで「都会派」にも「野生派」にもなれる。ミツバとは、環境適応能力を極めた変幻自在な役者なのです。
日本が誇る「ジャパニーズ・ハーブ」
日本の食卓に並ぶ野菜のほとんど(白菜、キャベツ、人参など)は、実は海外から渡ってきた外来種です。しかし、ミツバは違います。
数少ない「日本原産」の野菜の一つであり、太古の昔からこの列島の湿った森の下草として自生してきました。平安時代の書物にもその名が登場します。日本の水、日本の土、そして日本の薄暗い森の空気を吸って進化してきた、正真正銘の土着のハーブ。私たちがその香りに懐かしさを感じるのは、DNAに刻まれた遠い記憶が共鳴しているからかもしれません。
脳を鎮める「クリプトテーネン」の魔法
ミツバの香りは、単なる風味付けではありません。あの清涼感のある香りの主成分は「クリプトテーネン(Cryptotaenene)」や「ミツバエン」と呼ばれる精油成分です。
これらには、神経の興奮を鎮め、ストレスを緩和する強力な鎮静作用があります。イライラした時や不眠の夜に、ミツバのお吸い物を飲むとホッとするのは、気分の問題ではなく、脳神経に作用する化学的なアロマテラピー効果なのです。食欲を増進させつつ、心は穏やかにする。この相反する作用を同時にこなす点に、薬草としての非凡さがあります。
「結ぶ」ことができる唯一の茎
お正月のお吸い物などで見かける「結び三つ葉」。茎をくるりと結んで椀に浮かべる、日本料理独特の美学です。
なぜミツバだけが結ばれるのか。それは、他の野菜では真似できない「しなやかさ」と「強靭さ」を併せ持っているからです。熱湯にさっとくぐらせることで、繊維が壊れることなく柔らかくなり、どれだけ曲げても折れない紐(ひも)へと変化します。「縁を結ぶ」という祈りを形にするために、植物の茎を紐として扱う。そこには、素材の物理的特性を熟知し、精神的な意味を付与する、日本人の自然観が凝縮されています。
光を拒む「森の貴族」
もし家庭菜園でミツバを育てるなら、最も大切なのは「過保護に日陰にすること」です。
多くの野菜が太陽を求めるのに対し、ミツバは直射日光を嫌います。強い光に当たると、葉は硬くなり、色は黄色く褪せ、香りは野暮ったくなります。彼らが求めているのは、木漏れ日程度の柔らかな光です。日陰でこそ、あの透き通るような緑色と、柔らかい食感が生まれます。光を避けることで洗練される。それはまるで、表舞台を避けて静寂を愛する貴族のような生き方です。
セリ科
- セリ科セリ属 芹(せり)
- セリ科オランダミツバ属 セロリ
- セリ科シャク属 チャービル
- セリ科ミシマサイコ属(ホタルサイコ属) 三島柴胡(ミシマサイコ)
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