バターナッツ(バターナット・スクウォッシュ)は、ウリ科カボチャ属ニホンカボチャの一種です。原産は南アメリカのようですが、品種分類としてはニホンカボチャの仲間になるようです。
バターナッツ(カボチャ)。「瓢箪のようなかぼちゃです!」といういい文句で置いてありましたが、瓢箪というよりもサイレンサー装着後のハイパーウエポンですね。
形的にひょうたんやベルと表現される事が多いようです。似たような品種に鶴首かぼちゃというカボチャがあります。
バターナッツ(バターナット・スクウォッシュ)は、膨らんだ種周りの方が味が凝縮しています(膨らんでいる部分に種があります)。黄褐色というよりフローリングなどでありそうな木のようなの果皮ですが、中身はオレンジ系の果肉が詰まっています。普通のかぼちゃより繊維質は少なく、やや水気が多い感じがします。
「バターナッツは、ポタージュにするとうまい」ということを聞いたのでポタージュにしました。
「首」と「尻」で料理を変える解剖学
あのひょうたんのような独特の形。単にユニークなだけではありません。プロの料理人は、この形を「二つの異なる食材」として捉え、使い分けます。
縦半分に切ってみてください。種は下の膨らんだ部分(尻)にしか入っていません。上の細長い部分(首)は、すべてが緻密な果肉の塊です。 種のない「首」の部分は繊維が少なく滑らかで、形が揃いやすいため、輪切りにしてソテーやステーキにするのに最適です。一方、種のある「尻」の部分は繊維が多く、少し水っぽいため、ローストして水分を飛ばしたり、ミキサーにかけてスープやピューレにしたりするのに向いています。一つの野菜の中で部位による使い分けをする。それがバターナッツを味わい尽くすための作法です。
「キュアリング」という熟成の儀式
畑で収穫されたばかりのバターナッツは、まだ味が若く、青臭さが残っています。本当の美味しさを引き出すためには、「キュアリング(Curing)」と呼ばれる工程が不可欠です。
風通しの良い日陰で数週間から数ヶ月、じっくりと乾燥させること。この間に、果梗(ヘタ)がコルクのように硬くなり、余分な水分が抜けていきます。そして何より、内部のデンプンがゆっくりと糖に変わり、あの濃厚な甘みとナッツのような香りが醸成されるのです。私たちが手にするベージュ色の肌は、この静かな熟成の時間を耐え抜いた証(あかし)であり、旨味が完成した合図でもあります。
「ホクホク」を求めない美学
日本の食卓では「カボチャ=ホクホク(粉質)」が至高とされがちです。しかし、バターナッツにそれを求めてはいけません。
彼らの持ち味は「ねっとり(粘質)」とした質感と、豊富な水分にあります。これを「水っぽい」と否定するのは、彼らの個性を無視することになります。この粘質こそが、裏ごししなくても滑らかなポタージュを生み出し、リゾットにした時に米と絶妙に絡み合う理由なのです。栗カボチャが「食べるカボチャ」なら、バターナッツは「飲むカボチャ」、あるいは「溶け合うカボチャ」です。目指すべきゴールが最初から違うのです。
西洋の顔をした「日本カボチャ」の親戚
そのハイカラな名前と見た目から、ズッキーニやペポカボチャの仲間だと思われがちですが、植物学的な分類には驚きがあります。
実はバターナッツは、日本古来の「菊座カボチャ」や「鶴首カボチャ」と同じ「ニホンカボチャ(モスカータ種)」の仲間なのです。スーパーでよく見る「えびすカボチャ(セイヨウカボチャ)」とは種族が異なります。 煮崩れしにくく、出汁をよく吸う性質は、実は和食の煮物にも適しています。醤油や出汁との相性が悪くないのは、遠い記憶の中に日本の風土と通じる血縁を持っているからかもしれません。
ピーラーで剥ける「気軽さ」の革命
一般的なカボチャを料理する際、その硬い皮と格闘し、包丁を入れるのに恐怖を感じた経験は誰にでもあるでしょう。バターナッツが世界中で愛される隠れた理由は、その「皮の薄さ」にあります。
ご家庭にある普通のピーラー(皮むき器)で、ニンジンのようにスルスルと皮が剥けます。この圧倒的なハンドリングの良さこそが、日常の食卓に浸透した最大の要因です。しかし、もし無農薬であれば、皮を剥かずにローストしてみてください。皮に含まれるβ-カロテンなどの栄養価は果肉以上であり、焼くことで皮自体が香ばしいナッツのようなアクセントに変わります。剥くも剥かぬも、あなたの自由です。
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