アフォリズム 51-60
- 51.錯覚が解けた後の感覚
- 52.自称「妻がいるのにモテる男」
- 53.脇と品性
- 54.明るい偏見
- 55.そのままでいてくれて構わない
- 56.感謝と当然
- 57.保存を意図した消極性
- 58.見えたもの
- 59.カッコよさの基準
- 60.意を決した言葉
51.錯覚が解けた後の感覚
一度「アホな放尿犯」と聞こえれば、その後もそう聞こえる。「錯覚が解ける」というのはそうした感覚に近い。
52.自称「妻がいるのにモテる男」
配偶者を気遣っていますということを示す例として、「家に帰ってお掃除ロボットのスイッチを押すことくらいはしますよ」という言葉を出したその奥には、お掃除ロボットがきちんと機能するような、ある程度整理された― ある程度広いリビングなり何なりがあるということを相手に推測させ悦に浸るというような意図が含まれている。
現代においてこの手の人間は、縁の太い眼鏡をし、たいていどこかしらに髭が生えていることが多い。
53.脇と品性
「出せるような脇に仕上げた」という自惚れから脇を出すことに品性は感じない。
54.明るい偏見
何かのことが好きということも一種の偏見であるのであれば、― どのような偏見であれ一切の暗さのない偏見であれば、― 偏見だと自認し、抽象空間で許容できるものであるのならば、― その偏見はただの嗜好である。
55.そのままでいてくれて構わない
縁の太い眼鏡をしていても、髭を生やしていても、嗅覚的には議論の余地のある脇を出していても、本質的には何の問題もない。そこに自惚れが含まれているようなものであれば笑わせてもらうだけであり、抵抗もなければ改善して欲しいなどとは微塵も思っていない。
56.感謝と当然
「ありがたい」と思うのと同時に「当然である」とも思うに越したことはない。
ただ、そこにいかなる消極性も持ち込んではならない。
57.保存を意図した消極性
生存本能から起こる保存を意図した消極性、ならびにそこから起こる選択肢を選ぶ必要はない。また、あえて抗うとそれがあることを前提としてしまうため、抗う必要もない。
力を抜いて良き方向を向き、目の前にある最も気楽なものを手に取るだけで良い。
58.見えたもの
見えたからといって、それが一体何かね?
見えただけじゃないか。
関連付けるには早急であり、関連付けているのはその思考であることを忘れるな。
59.カッコよさの基準
カッコよさの基準は単純明快である。
その言動の最中に、仮に鼻毛が出ていても自他共にカッコいいと思えるかどうかである。
60.意を決した言葉
自分としては意を決さないと言えないような言葉を平然と言えるような者もいる。
こちらとしては余程の思いがあってこそ言うような言葉でも、相手は何のフィルターもなしにそれを吐き出しているというような場合がある。
だからこそ、相手の言葉に重荷を感じる必要はない。
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