芹(せり)は、セリ科セリ属(当然ながら)の多年草です。シロネグサ(白根草)とも呼ばれ、春は葉のみで夏に白いレース状の小花を付ける春の七草です。湿地性植物で水辺や湿地、畦に多く生息しています。芹科はうさぎの大好物が多いですね。
高さは30cm程度で茎は泥の中や表面を横に這い、葉を伸ばします。水菜に見えてセリだったというケースがたまにあります。野草としての性質が強く種子の発芽率が低いようですが、知人が水耕栽培で生産されています。

芹(せり)
芹(せり)に限らず、セリ科は独特の芳香を持っています。芹の匂いを嗅いだだけでうさぎはテンションが上がってきます。
セリの花のつき方は複散形花序といわれ、セリの花弁は二つに折りたたまれています。セリの葉は一、二回の三出羽状複葉で小葉は菱型。
こちらも野菜として栽培されている野草です。水耕栽培で栽培されたりします。
七草粥に使われる春の七草
(芹 学名:Oenanthe javanica)
「競り合う」ほどの生への渇望
「セリ」という短い名前は、彼らの生き様そのものを表しています。一箇所に密集して、互いに背比べをするように「競(せ)り合って」生えている様子から名付けられました。
春の小川で可憐に揺れる姿からは想像できませんが、彼らの地下では激しい領土争いが繰り広げられています。ランナー(走出枝)を四方八方に伸ばし、他者を押しのけてでも自分の居場所を確保しようとする。その貪欲なまでの生命力があるからこそ、真冬の冷たい水の中でも青々とした葉を茂らせることができるのです。「春の七草」の筆頭に挙げられるのは、単に美味しいからではなく、その逞(たくま)しい生命力を体内に取り込みたいという、古代人の願いが込められているからです。
「根」こそが主役という美食学
スーパーで売られているセリの多くは、根が切り落とされていますが、食通に言わせれば「一番美味しい部分を捨てている」ことになります。
近年、仙台名物として全国区になった「せり鍋」では、主役は葉ではなく、白く長い「根」です。泥の中で栄養を蓄えた根は、火を通すと独特の甘みが生まれ、シャキシャキとした歯ごたえと共に、土の香りと水の清らかさが凝縮されたような深い味わいを放ちます。丁寧に泥を洗い落とし、根ごと鍋に放り込む。それは、植物の全存在をいただくという、最も贅沢な食べ方です。
水を磨く「清濁併せ呑む」力
セリは清流を好みますが、同時に多少汚れた水辺でも旺盛に育ちます。実は、セリには窒素やリンを吸収し、汚れた水を浄化する高い能力が備わっています。
クレソンなどと同様、彼らは水辺の天然のフィルター(濾過装置)です。泥水を吸い上げ、それを自らの体内で濾過し、清廉な香りに変えて空気に放つ。私たちがセリの香りに癒やされる時、それは彼らが汚濁(おだく)を浄化した証を受け取っているのかもしれません。
『万葉集』から続く日本原産の誇り
多くの野菜が海外から渡ってきた中で、セリは数少ない「日本原産」の野菜です。数千年前からこの列島の水辺に自生し、縄文人も食べていたと考えられています。
『万葉集』にも「あかねさす 紫野行き標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る」の歌で知られる額田王(ぬかたのおおきみ)の歌だけでなく、セリを摘む情景を詠んだ歌が登場します。白菜やキャベツが日本に来る遥か以前から、私たちの祖先の胃袋と健康を支え続けてきた、野菜の大先輩。その一口には、悠久の時を超える日本の風土の記憶が刻まれています。
セリ科の植物
セリ科(Apiaceae)は、芳香を持ち、ハーブや野菜、香辛料として使われる種を多く含み、コリアンダー、セロリ、ミツバ、パセリ、アシタバなど、名の知れた「香り高い植物」が多い被子植物の科で学名はApiaceaeというようです。セリ科であるクミンはカレーに使われます、その他ニンジンもセリ科です。ミツバ、パセリ、アシタバ、そして人参といえば、うさぎの大好物ばかりです。抗変異原性があるものが多いようです。
毒芹(ドクゼリ)
毒芹(ドクゼリ)は、その名の通り毒を含んだセリ科ドクゼリ属の多年草有毒植物です。別名はオオゼリ(大芹)で、芹と同様に水辺、湿原に生育する多年生の湿地性植物・抽水植物です。
春先の葉の形状が芹に似ており、毒は全草に含まれますが、ドクゼリにはセリ独特の芳香もなく、芹にない地下茎があり、太くタケノコ状のふしがあって横に這っていないようで、区別しやすいようです。ドクゼリの毒は皮膚からも吸収され易い性質を持っているため注意が必要です。
ドクウツギ、トリカブトと共に日本三大有毒植物の一つです。
命を賭した「ドクゼリ」との識別
野山でセリを摘む際、最も神経を尖らせるのが、猛毒を持つ「ドクゼリ」との誤食です。両者は同じような水辺に生え、葉の形も似ていますが、ドクゼリは日本三大有毒植物の一つであり、誤って食べれば痙攣(けいれん)や呼吸困難を起こし、死に至ることもあります。
決定的な見分け方は「根」と「香り」にあります。セリを引き抜くと、白いひげ根しかありませんが、ドクゼリには地下に「竹のような節のある太い根茎(タケノコ状)」があります。また、セリには特有の清々しい芳香がありますが、ドクゼリにはそれがなく、むしろ不快な臭気があります。「疑わしきは摘まず」。この鉄則を守れる者だけが、野生の味を楽しむ資格を持ちます。
セリ科
- セリ科ミツバ属 三葉・三つ葉(みつば)
- セリ科オランダミツバ属 セロリ
- セリ科シャク属 チャービル
- セリ科ミシマサイコ属(ホタルサイコ属) 三島柴胡(ミシマサイコ)
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