撫子(なでしこ)

撫子(なでしこ)は、ナデシコ科ナデシコ属カワラナデシコです。蘧麦(きょばく、瞿麦(くばく))ともよぶようです。その他、撫子は、形見草(かたみぐさ)、日暮草(ひぐれぐさ)、懐草(なつかしぐさ)など多くの呼ばれ方があります。古名では「常夏(とこなつ)」と呼ばれたようです。

ナデシコ(撫子) ナデシコ科ナデシコ属

ナデシコ(なでしこ、撫子、瞿麦)はナデシコ科ナデシコ属の植物、カワラナデシコの異名。またナデシコ属の植物の総称です。蘧麦(きょばく)と呼ばれることもあります。学名「Dianthus」からダイアンサスと呼ばれることもあります。かつて日本女性清楚な美しさを例えて「大和撫子(やまとなでしこ)」といわれたりしましたが、そのナデシコは秋の七草の一つです。

ナデシコ属はナデシコ科に属し、日本や中国、ヨーロッパ、北アメリカなど北半球の温帯域を中心に約300種が分布しています。このうち、姫浜撫子(ヒメハマナデシコ)と信濃撫子(シナノナデシコ)は日本の固有種(日本のみ自生)であり、他に日本には河原撫子(カワラナデシコ)と藤撫子(フジナデシコ)が分布します。

別名として、姫浜撫子は、琉球寒撫子(リュウキュウカンナデシコ)、信濃撫子は、深山撫子(ミヤマナデシコ)、藤撫子は、浜撫子(ハマナデシコ)と呼ばれます。

このうち、河原撫子(カワラナデシコ)が最も一般的かつ秋の七草として、大和撫子(ヤマトナデシコ)と呼ばれます。

カワラナデシコ(河原撫子) ヤマトナデシコ

カワラナデシコ(河原撫子、学名:Dianthus superbus var. longicalycinus)は、ナデシコ科ナデシコ属の多年草です。草丈50cm~1m。花期は6~9月。山野や原野に多く、日当たりの良い草原や河原に自生しますが、路傍や砂浜等でも自生しています。河原という名前がついていますが、河原にはあまり自生しないようです。真夏でも弱ることのない生命力を持っています。

カワラナデシコの花弁は5枚、雄蕊は10本、雌蕊は花柱2本。茎は根から叢生し、節が膨らむ。葉は、無柄で緑白色を帯び、先の尖った広線形で対生、基部は茎を抱きこんで無毛・粉白色。花は上部でまばらに分枝して茎の頂端に付き、直径4~5cm、萼片は3~4cm、苞(ほう)は3~4対あり、淡紅色まれに白色。花弁は5枚で、先が糸状に細裂しています。

大和撫子の名を持つ河原撫子も、秋の七草のひとつです。

なお、カワラナデシコ(河原撫子)は、花の下にある鱗状の葉の苞(ほう)が太く3~4対ですが、近縁種で高原に咲くエゾカワラナデシコ(蝦夷河原撫子)は、苞が細長く2対で先端が伸びています。

瞿麦(くばく)

撫子(ナデシコ)が瞿麦(くばく)の名で呼ばれる時は、薬草として取り扱われる時のようです。ナデシコの薬効成分は、全草にあり、種子も薬用とし瞿麦子(くばくし)と呼ばれるようです。サポニンを含み、加水分解するとキプソゲニン酸というものを生成するようです。

高嶺撫子(タカネナデシコ)

カワラナデシコの変種として、タカネナデシコ(高嶺撫子、学名:Dianthus superbus var. speciosus)という種もいます。高山帯の石磔地にみられる多年生草本で、花弁は濃紅色で花弁周辺は細かく裂けています。高山地帯に生えることから「高嶺」という名がついていますが、大和撫子に対して、何か鼻が高いようなイメージがしてしまいますね。「大和撫子」が手の届かないようなところへ行ってしまった時、それは色濃く艶やかになった「高嶺撫子」になってしまうという、一種の人間模様のようなものを表しているのでしょうか。

美女撫子(ビジョナデシコ)

日本において女性の清楚な美しさを例えて「大和撫子(やまとなでしこ)と表現しますが、「アメリカナデシコ」とも呼ばれる美女撫子(ビジョナデシコ)という撫子もいます(学名:Dianthus barbatus)。こちらは花の周りに先の尖った針状の総苞があるため髭撫子(ヒゲナデシコ)と呼ばれることもあります。

美女撫子は、アメリカナデシコと呼ばれることもありますが、原産はヨーロッパ東部から南部です。

ナデシコ科

ナデシコ科ハコベ属 繁縷(はこべら、ハコベ)

Category:植物

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