ある人が言った。憂鬱な気質にありがちな、人の気に入りたがる気まぐれに対して、子供のとき軽蔑を抱いたので、人生の半ばに至るまで、自分には自分がどんな気質であるのか、つまり自分がほかならぬ憂鬱な気質であるということが見えないままであった、と。彼は、これはありうるあらゆる無知の中で最上のものであると明言した。 曙光 341
世の中にはたくさんの誤解、誤認があります。人と人の間の相手にもっている印象などほとんどが勘違いです。
ただ、一言で勘違いだと言っても、どう勘違いしている可能性があるのかまで推測できる場合と、ただ伝家の宝刀のように「勘違いしている」と、その言葉だけで終わらせようという怠慢の場合があります。後者はやめておいたほうがいいでしょう。
何がどう勘違いなのかを説明できないような場合はもちろん、「勘違いしている」と言っている側の持っている前提自体が合理性なき偏見であるという場合もあります。
「優しい」という印象
さて、昔からたくさんの勘違いをされてきました。
その中でも一番多いのが、「優しい」という印象です。
しかし、僕ほど怒りのエネルギーが強い人に会ったことがありません。それほど元来持っている怒りの強さは人並みではありません。
そういうわけで根本は怒りエネルギーの固まりのはずですが、傍目の「優しい」という印象から、なめてかかってくる人が多かったように思います。
いまでもその感じはどこかに残っています。
特に体育会系で少し年上の人や、試験で昇進したような公務員系の人たちですね。とりあえずは上下関係、ヒエラルキーが大好きなタイプの人達です。
慢心があるとそれだけ脇が甘くなる
しかし、僕はなめられて自尊心が傷つくということはありません。そこで損をするのは相手です。
なぜなら、慢心があるとそれだけ脇が甘くなるからです。いざ何かが起こった時には相手の慢心の分だけこちらが有利になります。
多少のことならば細かいことは言いませんが、不義理だけは許しません。イエスキリストに許しなさいと言われても、許しません。攻撃はしませんが、折れることもしません。
相手の強欲に自分の心が折れたというだけ
そこで折れることは優しさではありません。
慈しみでもありません。ただの弱さです。
相手の強欲に、自分の心が折れたというだけであって優しさでもなんでもありません。むしろ傷つくことへの恐怖や自虐で済むならという逃げです。
折れないというのは怒りにとらわれるということではありません。
折れずに行動して、結果が想像とは違ったものになっても、悔やんだり悔しんだりしない、つまり後に残さないということです。最終的にどう転んでも「まあいいか」と思っています。
強欲は戒める
しかしこちらが「まあいいか」と思うだろうと思って、何でも要求してきていいという強欲は戒めなければなりません。
それは僕が損をするという点ももちろんですが、「はいはい」と何でも要求を飲んでいては、相手のためにもなりません。
ここで折れないということは、自分にも相手にもメリットがある、ということだけ激しく戒めに入ります。
そういえば先日も、今回の話と関係あるような出来事がありました。
報酬は半分しか出せない
仕事の件になりますが、案が確定し、資料の提出なども行っていました。数カ月前から決まっていたような話です。
すると、その仕事に直接とりかかる直前に、急に相手先から
「報酬は半分しか出せないと上が言って来ました。内部的な決裁が降りないので、私ではどうすることもできません」
と言ってきました。
ぼ(ぼっすー) 「それはあなた達の都合です。そのような条件は飲めません」
相(相手) 「もし何でしたら、今回の件はお断りいただいても結構ですが」
ぼ 「既に案も確定しており、資料等の提出も行っております。そのような一方的な条件変更は認められません。もし廃案にするならば、今までの作業に関する請求書を出させていただきます」
相 「一度、上と掛け合ってみます」
数時間後
相 「3分の2の金額なら出せると言っていますが」
ぼ 「なめてんのか!その決裁権を持っている上司を出しなさい。出ないというなら今から御社まで伺わせてもらう。覚悟しておけよ!今までのやりとりも全てボイスに残ってるからな。そんなことが社会で通じると思うなよ」
相 「そこでですが、差額分は私が個人的に負担させていただきます」
ぼ 「費用の出処、どの会計から出るかはこちらとしては関係ないが、一切の減額は認めない。正規の金額を遅滞なく支払うのならばこちらとしては文句はない」
相 「上に『見切り発車をしたのはおまえだ』と言われまして・・・私が責任を持ちます」
ぼ 「御社の決裁権の話と、うちは関係ない。こちらの請求期日に差額分を支払っていただきたい。遅れた場合は利息を請求させていただく。分割払いにも応じない。わかってらっしゃると思うが、この話も全て記録に残っているから言い逃れはできませんよ」
相 「必ずお支払いいたしますから、何卒穏便にお願いいたします」
と言った感じです。金額の多寡ではありません。その要求をしてこれる神経は一体どういう神経回路なのかということです。
なめてもらうのは結構です。
しかし、その想像のまま事が進むとは限りません。
それにしても一体どんな上司でしょうか。
気にはなります。
一回も表に出てきていないので、内弁慶の臆病者なのでしょう。
いつでもかかってきてください。
いつでもなめてかかってもらって結構ですよ。
といっても、社会にいるとどうしてもこういうことからは逃れられません。
いくらこちらが普通にしていても、相手がひどい場合があります。
そういうわけで、社会にいる限り、どうしても煩いが増えるということになるのでしょう。
誤認の利益 曙光 341
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