藜(あかざ)は、アカザ科アカザ属の一年草です。畑や空地などに多く、葉はゆでて食べることができるようですが、シュウ酸を多く含むため生食には適しないようです。
ホウレンソウもアカザ科のようでホウレンソウ系の味がするようです。なお、うさぎはシュウ酸を含むものは食べられません。ということは、ホウレンソウもダメですが藜もダメのようですね。
藜(あかざ)は、高さは1m程度にまで達し、特に窒素分の多い土地でよく成長するようです。風媒花であるため花粉が飛散しやすく、アレルギーの原因になるようです。雌蕊(めしべ)が先に成熟します(その雌蕊優先時期を雌性期というようです)。その後、雄蕊(おしべ)が5つ出てきます(この時期を雄性期というようです)。果実の緑は稜で、五角形をしており、果皮は五角形通りに5裂して種が一つずつでてきます。
アカザの他に、ホソバアカザ、ノアカザなどの種類がいるようです。
藜(あかざ)は夏の七草として取り扱われます。なお、APG植物分類体系ではヒユ科に分類されるようです。
学名: Chenopodium album var. centrorubrum
雑草が「仙人の杖」に変わるとき
春には柔らかいお浸しになるこの草が、秋になると驚くべき変貌を遂げることをご存知でしょうか。
アカザの茎は、成長すると木質化し、極めて軽く、それでいて強靭な素材へと変化します。古来、中国や日本では、枯れて硬くなったアカザの茎を「藜杖(れいじょう)」あるいは「アカザの杖」として加工してきました。 その軽さと丈夫さは、中風(脳卒中など)除けのまじないとしても珍重され、『水戸黄門』が愛用していた杖もアカザ製であったと伝えられています。ただの草が、老人や仙人を支える名品へと生まれ変わる。その劇的な材質の変化(リグニン化)に、植物の神秘を感じずにはいられません。
葉を覆う「白い粉」の正体
アカザやシロザの若い葉を見ると、まるで白いカビか埃(ほこり)を被ったように見えます。「汚れている」と思って強く洗いすぎてはいけません。
この粉の正体は「粉状毛(ふんじょうもう)」、あるいは「偽粉(ぎふん)」と呼ばれる、植物の一部です。小さな風船状の細胞が密集したもので、これが強い太陽光を反射して葉を守り、同時に水を弾くレインコートの役割を果たしています。 調理の際に茹でると、この粉は溶けて消えてしまいます。あの白さは、彼らが過酷な環境で生き抜くために纏(まと)った、一時的な「鎧(よろい)」なのです。
ほうれん草の「野生の先輩」
味について語るなら、アカザは「ただの食べられる雑草」という評価では不十分です。彼らは、野菜の王様である「ほうれん草」と同じヒユ科(旧アカザ科)に属する、極めて近い親戚です。
プロの舌で味わえば、その風味はほうれん草以上に濃厚で、土の香りがする野性味あふれる「濃いほうれん草」であることがわかります。ただし、シュウ酸(アク)も強いため、生食は厳禁です。しっかりと茹でて水に晒すことで、シュウ酸を抜く。このひと手間さえ惜しまなければ、スーパーの野菜では決して味わえない、太古の滋味を楽しむことができます。
「窒素」を探知する土壌診断士
アカザが大量に生えている場所を見つけたら、そこは「肥沃な土地」あるいは「人間が汚した土地」である証拠です。
アカザは「好窒素植物(こうちっそしょくぶつ)」と呼ばれ、窒素分が豊富な土壌を好んで繁茂します。かつて集落があった場所や、肥料が効きすぎている畑、あるいはゴミ捨て場跡などに好んで生えます。彼らは土の中に眠る過剰なエネルギー(窒素)を敏感に感知し、それを吸い上げて巨大化する、自然界の土壌診断士です。
一粒万倍の「種」の脅威
もし、あなたがこの草を畑で管理しようと思うなら、「花が咲く前」に決着をつけなければなりません。
アカザの繁殖力は桁外れです。一株から数万、条件が良ければ十万個以上の種をばら撒きます。さらに厄介なのは、その種が「休眠性」を持っていることです。土の中で数十年も生き続け、掘り返された拍子に発芽するゾンビのような生命力を持っています。「一年草だから放っておけば枯れる」という油断は、来年の春、緑の絨毯(じゅうたん)となってあなたに復讐するでしょう。
白藜(シロザ)と藜(アカザ)
シロザの新芽の粉が紅色のものをアカザと呼ぶということで、アカザをシロザの1変種として取り扱っているようです。
アカザの若葉は赤い粉状の微細な粒に覆われ、未熟な葉の細胞を、遺伝子を傷つける紫外線や、細胞組織を損傷する原因となる過剰な光のエネルギーや葉緑素からの活性酸素から防いでいます。シロザの方がメジャーです。様々な亜種や変種があるようです
シロザを含め、晩秋には葉が紅葉するようです(草もみじ)。
「赤」と「白」の科学的境界
中心が赤いのが「アカザ」、白いのが「シロザ」。見分け方は単純ですが、この赤色には秘密があります。
この赤色は、アントシアニンではなく「ベタレイン」という色素によるものです。これはサボテンの花やビーツ、ドラゴンフルーツに含まれるものと同じグループの色素です。 アカザが赤くなるのは、単なる飾りではありません。強力な抗酸化作用を持つこの色素を作ることで、強い紫外線やストレスから成長点(植物の心臓部)を守っているのです。あの鮮やかな赤は、生き残るための化学的なバリアに他なりません。
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