浪小僧(なみこぞう)妖怪ブロンズ像
海に棲む親指大のサイズの浪小僧(なみこぞう)。ある時、畑仕事をしていた少年に助けられた。その後干ばつ時、自分を助けてくれた子供へのお礼にと、雨ごいの名人の父親に雨を降らせてくれるよう頼み、間もなく大雨が降ったという伝承がある。出現地は、静岡県曳馬野。
水木しげるの続・妖怪事典によると、浪小僧にまつわる話は次のようなものである。
昔、曳馬野(ひくまの)に一人の少年と母が住んでいた。少年がある日、田を耕し沼で足を洗っているとそばの草の中から「もしもし」と声がした。見ると親指ほどの子どもがいて「お助け下さい。私はこの前の海に住む浪小僧というものでございます。先ほどの大雨でうかうかと陸に浮かれ出たものの、この日昭りとあってはとても家に帰ることができません。どうぞ海までお連れ下さい」と言った。気の毒に思った少年は頼みをきいて助けてやった。
その後、日照りが続き、川の水は枯れ、稲は萎れるばかりとなり、少年は途方にくれ、ぼんやりと海辺に立っていた。
すると海から浪小僧がやってきた。
「先日は有難うございました。旱魃で大変お困りのご様子、私の父は雨乞いの名人ですから、さっそく雨を降らして頂きましょう。なお今後は、雨降る時には東南で、上がる時には西南で、あらかじめ浪を鳴らしてお知らせいたしましょう」といって浪小僧は言い終わるとすぐにどこかに姿を隠してしまった。
しかし、それから間もなく雨が落ちてきてやがて大雨となった。少年をはじめ里の人々は大助かり それからというものこの地方では浪の音によって天気の予知ができるようになったという。
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公開日:2020.07.25
最終更新日:
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