タグ別アーカイブ: 学習・教育

学習・教育に関すること

モダリティ効果

モダリティ効果(modality effect)とは、言語材料を記銘(新しく記憶)する時、呈示モダリティによって記憶成績に差が生ずることで、主に視覚よりも聴覚のほうが新近効果(新近性効果)が得られること。言語材料を視覚よりも聴覚で呈示したり音読させる条件の方が、単語や文字のリストの直後再生において特にリスト終末部の成績良いというような効果が代表的である。モダリティ効果は、「2秒間程度持続する聴覚的感覚記憶」である「前カテゴリー的音響貯蔵庫=PAS」を仮定することによって説明されたが、唇だけ動かす条件や、唇の形や手話

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ヤーキーズ-ドッドソンの法則

ヤーキーズ-ドッドソンの法則(Yerkes-Dodson’s law)とは、「覚醒レベル」と「学習のパフォーマンス」と関係において「逆U字型」の関係があり、「ある最適水準までは覚醒の増加とともにパフォーマンスは向上していくが、最適水準を超えると逆に低下していく」という法則である。 アメリカの心理学者であるヤーキーズ氏(Yerkes,Robert Mearns)とドッドソン氏(Dodson,John Dillingham)が行った「ネズミを使った学習実験」からこの法則が導き出された。 その後、ロフタス氏に

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経歴効果(履歴効果)

経歴効果(履歴効果/career effect)とは、心理学における実験、測定において、「前回の測定が今回の測定に影響する」といった形で捉えられる影響のこと。実験の測定値に異なりがあった場合に条件統制の問題として考えられる場合の影響を意味する。 心理学における実験や測定は、物理的測定を代表としたような、自然科学の分野のように条件を同一にできず、学習や動機づけ等の要因により測定値が異なる場合がある。測定の経過に伴い対象が変化するため、各々の測定が独立することはない。よって同一対象に同じ測定を繰り返したとしても、学習や

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ラベリング効果

ラベリング効果とは、ラベリングされレッテルを貼られることで、そのレッテルに合わせるように心理が誘導されてしまうという効果。ラベリングが言語的媒介過程を通して学習、記憶に影響を及ぼすことがラベリング効果である。 「あなたは頭がいい」と言われ続ければ、本当に頭が良くなったり、「あなたはいい人ですね」と言われ続けていれば「良い人」であろうとする心が働くといった具合である。 ラベリング効果は、学習記憶に影響を与えるという形になるが、期待に沿うようにとラベリングされたことに合わせてに心や人格が誘導されるという現象であると考え

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リボーの法則(リボーの逆行律)

リボーの法則(Ribot’s law/リボーの逆行律)とは、記憶の忘却に関する経験則で、記憶障害や進行性痴呆などの場合において、忘却が新しい記憶から古い記憶へ、また単純な記憶から複雑な記憶へと進行すること。直観的な予測とは反対に「新しい記憶」から忘れたり、「複雑な記憶」から先に忘れたりする現象。「リボーの法則」の名称は、フランスの心理学者・精神病理学者、哲学者であるリボー氏から。名前の綴りからリボットの法則と表記されることもある。 最近覚えたことの方がよく記憶されていそうなものだが、「私ご飯食べたかしら

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レストルフ効果(孤立効果)

レストルフ効果(Restorff effect/孤立効果)とは、記憶材料の中に異質項目があるとその再生がよいという心理効果。孤立の程度は項目間の相対的関係によって決まるが、項目の類似性と異質性は知覚的にも意味的にも捉えることができる。そうした中、記憶をしていく上で、異質の項目があったほうが記憶を呼び出しやすいという効果がレストルフ効果である。 記憶する材料のリストの項目は、互いに似ている場合と異質の項目を含む場合とがあるが、無意味綴り・図形・数字・文字・色を組み合わせて、記憶材料の中に異質項目があったほうがその再生

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バラード-ウィリアムズ現象

バラード-ウィリアムズ現象(Ballard-Williams phenomenon)とは、有意味材料の記憶で数日程度の比較的長い時間間隔で生じるレミニセンス(一定時間経過後の方が記憶を想起しやすくなる現象)のこと。 詩や散文などの有意味材料を記憶した場合、記銘直後よりも2、3日後の方が保持成績が良いことがバラード-ウィリアムズ現象である。 バラード-ウィリアムズ現象のメカニズム バラード-ウィリアムズ現象が起こるメカニズムとして、学習時には、「正反応」と同時に「妨害的反応」や「誤反応」も学習されるが、それらは急速に

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ワード-ホブランド現象

ワード-ホブランド現象(Ward-Hovland phenomena/ワード-ホヴランド現象/ワード-ホブランド効果)とは、無意味材料の記憶や運動学習で数分程度の比較的短い時間間隔で生じるレミニセンス(一定時間経過後の方が記憶を想起しやすくなる現象)である。無意味綴りなどの記憶材料で数分内の短い時間内に見られるレミニセンスが、ワード-ホブランド現象である。 換言すれば、ワード-ホブランド現象とは、「無意味なことに対する記憶」や動きなどの運動においては、学習直後よりも数分後(概ね10分以内)の方が思い出しやすいという

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レミニセンス

レミニセンス(reminiscence)とは、学習直後より一定時間経過後の方が学習成績が良くなる現象のこと。記憶の保持は時間経過とともに一般的に減少していくが、時に記憶直後よりもある時間を経過した方が再生がよい場合がある。レミニセンスはそうした「条件によっては一定時間が経ってからのほうが、記憶をより想起できる」現象のことを示す。 通常、記憶実験における記銘材料の再生や運動学習において、その学習の成績は、学習直後から時間の経過とともに低下するが、条件によっては、学習直後より一定時間を経過した後の方が成績がよい場合があ

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アハー体験

アハー体験とは、ひらめき・気付きの感動の瞬間であり、「解決を模索しつつも行きづまる準備段階」や「問題との取組みを一時放棄するあたための段階」を経て、問題に取り組んでいるとき、または何気ない時に、突然問題の再構造化による解決を得て「あ!」、「は!」となる瞬間の心的体験を意味する。創造的問題解決の過程の最も核心部分である「ひらめき」を指すが、心理学用語ながらネットスラングレベルで「Aha!」という叫びから名付けられた。 創造的問題解決の過程 アハー体験とは、端的にはひらめきであるが、特に創造的問題解決の過程におけるひら

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反復効果(繰り返し効果)

反復効果(繰り返し効果)とは、学習や記憶における単一試行に対する複数試行の異なる効果で繰り返すことにより、学習や記憶か進むという論ずるまでもない効果のことである。 当然ながら学習や記憶において反復(繰り返し)することで、正反応の増加や誤反応の減少、反応潜時の減少、そして対象のスキル化、知識の体制化などが起きる。問題に対する答えを正しく導き出しやすくなったり、間違いが起こりにくくなる、答えを導くまでの時間が短くなったりするというという感じで、反復によってそれがスキルとなり、また「知識」として染み付いてくるという感じで

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合理化によって失われた分を何かで補う

合理化が進んだ分だけ何かが失われて、その失われた分は何かで補わなければバランスがおかしくなるということで、結局かけているコストの総量としてはあまり変化がないような気がしたりもします。 ということで、便利になってできた余白は何かに使わねばなりません。でないとただ愚化していくだけになってしまいます。 「求める結果を最短最小のエネルギーで手に入れる」という合理化自体は良いですが、ある部分を合理化することで、ある部分の能力が低下し退化していったり、また、別の側面で非合理となるという問題もどこかに潜んでいたりします。 省エネ

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哲学と未成年の感覚

哲学の領域は、哲学を勉強することで完結するものではありません。柔軟な感覚で自ら紐解き、自ら超える領域であるのが哲学領域です。誰かが考えたことをを理解するということも、自らの検討材料として良いきっかけとなりますが、知り、理解することが哲学ではないのです。 そう考えると、最も重要なのは「未成年の感覚」です。哲学に限らず全ての科学は「何でなんだろう?」と問うこと無しには先に進みません。 ということは、半ば強制的に教え込まれることよりも、「あのとき彼はなぜそんなことを言ったのだろう?」と疑問に思うことの方がよほど科学的な姿

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テレビを見ない生活

もうかれこれテレビを見ない生活が十数年続いています。家にはもちろんテレビ自体がありませんし、今後も買うことはありません。ということで、自宅でテレビを見るというようなことは一生ないでしょう。 今年の台風で家のテレビのアンテナが吹き飛んでテレビがない生活ということを経験した人も結構いると聞きました。そしてアンテナを直そうにも、復旧工事が殺到していてなかなか順番が回ってこないという感じのようです。そしてさらに、まさにテレビ依存ということなのか、テレビのない生活に耐えられないということで、ひかりTVやケーブルTVを契約する

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不退転な不死鳥

永遠の命への憧れのようなものを持っている人がいます。しかしよくよく考えてみると生きていると煩いがたくさんあります。そんな中、仮に「永久に死ねない」ということになってしまった場合、本当にそれでいいのでしょうか。 よく物語の設定などで王様が「あとは永遠の命だけだ」というような感じで、「トップに立ったのだから後はその喜びをずっと味わっていたい」というような気になり、永遠の命を授ける妙薬のようなものを探したりするという設定があったりします。 確かに王様のその時の気分はその通りなのでしょう。しかし、その気分が追々変わって「や

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破天荒と半可通

斬新なアイデア、画期的なアイデアというものを生み出すにも、概ねその手前にたくさんの情報が必要になります。 考えが凝り固まった玄人が見落としているようなところを初心者が発見するといった感じで、稀にビギナーズラック的にアイデアが生まれることもありますが、ほとんどのケースでそのようなことは起こりません。 アイデアは、それを発想することより形にすることのほうが難しいという面を持ちつつ、世界を変えてしまうほどのよほど斬新なものでない限り、たいていのアイデアは他の人も思い浮かべているようなアイデアだったりします。 その分野で稼

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ゲームと知能

僕はファミリーコンピュータと同い年であり、小学生の頃はスーパーファミコン全盛期であり、小学校高学年くらいから中学生の頃はセガサターン・プレイステーションの登場によってそれにどっぷり浸かるような世代です。 ファミコンが1983年、スーパーファミコンが1990年、セガサターン・プレイステーションが1994年ということで、まさに成長期がゲーム全盛期という感じになっています。 そんな中、「ゲームをすると頭が悪くなる」などと囁かれていましたが、我が家では全く逆の立場をとっていました。 あまりコンピュータのことを分かっていない

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他人の成長

ご無沙汰しています。bossuです。 久しぶりに頭を休めるために書こうかと思いますが、寒さのせいか、俗世間に触れたせいか少し頭の働きが悪くなっているような気がします。 思えば、昔は「他人の成長を喜ぶ」ということが本当のことかどうか半信半疑だったように思います。 おばあちゃんが孫の成長を喜ぶというようなものならば何となくわかりましたが、「部下の成長や後輩のような人の成長が嬉しいというのは本当だろうか?」ということを考えていました。 それはどちらかというと、あくまで上下関係があって、部下が成長すれば自ずと自分の評価も上

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遠くへの展望

よく定義されているように、他人のために、しかも他人のためにのみなされる行為だけが道徳的であるとすれば、道徳的な行為というものは存在しない! 曙光 148 序 人生設計やキャリアビジョンというような概念がありますが、そうしたものが語られていると知った時、なぜそうした狭い枠組みの中で夢を見させるのだろうというようなことを思いました。 以前、子供に将来の夢を聞くことは、ほとんどの場合その人の潜在可能性を潰すというようなことを書いたことがあります。 日々使い古される人々 現状知っている中の具体的にカテゴライズされたような対

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詩人と鳥

不死鳥が詩人に、灼熱して炭になろうとする一巻を示した。「驚くな!」とそれは言った。「これは君の作品だ!それは時代精神を持たないし、いわんや時代に逆らう人々の精神などは持っていない。従ってそれは焼かなければならない。しかしこれはよい徴候である。多くの種類の曙光がある。」 曙光 568 ここで曙光という言葉が出てきましたね。 さて、詩人と鳥です。その両方に関連したことが思い浮かべばいいのですが、「Mrベーター」の「鳥よ鳥よ鳥たちよ。丹頂鶴はさ…」しか思い浮かばないので、ひとまず詩人について触れていきます。 文学的な短歌

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経験のすぐそばで!

大人物たちもまた彼らの五本の指幅の経験を有するにすぎない。― そのすぐそばで彼らの熟慮は止む。そして彼らの無限の真空と彼らの愚鈍とが始まる。 曙光 564 「もう一度ゼロからやり始めたい」 稀にそんなことを思うことがあります。それは過去に遡って「やり直す」という意味ではなく、違う分野でもう一度初心者から這い上がるというような感覚を味わいたく思うという感じです。 そういうわけで先日から、全く畑違いのカテゴリを追加して書いてみようかなぁというような感じのことを思っています。が、殆どの分野の書籍は一通り読んだりしています

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学習と演繹

なんだかんだで教育関係者も身の回りにちらほらいて、教育というか学習について相談を受けることがあります。 実はいわゆる勉強というものがそれほど難しいものではないのですが、出だしがフラフラしているからこそ難しく見えてしまうという事がよく起こっています。 学力というものをつけていくにあたって、その「学力」とは何かというところをつかんでいかないと、おそらくフラフラした細切れの寄せ集めになってしまうでしょう。 「学力」と「答えが決まっているような問題」と「演繹」 では学力とは何なのか、それは単に何かの対象について全体的な印象

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かつてのドイツ人的な教養

あのドイツ人的な教養はヨーロッパ人を馬鹿にしたということ、またそれはそうした関心に、それどころかそのように模倣したり張り合って自分のものにしたりすることに値しなかったということは、否定することができない。まあ今日、シラーや、ヴィルヘルム・フォン・フンボルト、シュライエルマッハー、ヘーゲル、シェリングなどを捜すがよい。 曙光 190 中腹 「シラーや、ヴィルヘルム・フォン・フンボルト、シュライエルマッハー、ヘーゲル、シェリングなどを捜すがよい」 … 「誰?」 という感じの感想を持つ人が大半のはずです。 ということで、

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習得

習得ということで、学力や習い事についてでも書いていきましょう。先日「われわれ初心者!」の中でも学力について少し触れていましたね。 僕には各分野特に師匠的な人はいませんが、学力をつけたり物事を習得していく場合には、「良い先生」に出会えるかどうかが結構なキーポイントだと思っています。 小さい時にピアノを習っていましたが、特に上手く弾けるわけではありません。今思うと、先生を変えれば良かったのかなぁなんて思っています。 ピアノの先生と幼き日の弱さ まあでもそのピアノの先生のおかげで、先生によって上手にも下手くそにでもなると

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われわれ初心者!

俳優が他の俳優の演技を見るとき、彼は何と一切のものを推測したり見て取ったりしていることだろう! 中略 他方画家が、彼の前で動いている人間をどんなに別様に見ることであろう! 曙光 533 抜粋 合気道の袴は、相手に膝の動きをさとられないためにブカブカであると聞いたことがあります。 一方、画家はピカソ等々平面空間を抽象的に統合して捉えたりしています。 さて、「われわれ初心者!」です。初心者ということで「初心者と学力」あたりから進めていきましょう。 誰しも初めてやることに関しては初心者であり、そうした時は「何がわからない

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