思い立ったら即行動、というのが常ですが、昔は良く思い立って、学校が終わってからいきなり敦賀あたりまでバイクで行ったりしていました。バイクといっても50ccです。
確かあれは7月でした。海辺に着くとちょうど夕暮れどきで、しばし夕日を眺めたあと、すぐさま凍えながら山道を帰るという具合でした。
ふと思い立って、「とりあえず」となったことは、意外と「とりあえず」では済まないことがよくあります。
結果的に結構早くやめるのに、だらだら続けてしまうことはよくあります。
ただ、「とりあえず」ではなく「本気だ!」でやったことは、たいていの「とりあえず」よりは長く持ちますが、本気だった自分を裏切りたくない、もしくは人に「俺は本気だ!」と言ってしまった手前、なかなか抜け出せないだけであって、「なんとなく」から始めたことのほうが意外とずーっとやり続けていたりします。
思い立つうさぎ
僕が上海に行った時です。当然にしばらくの間、自宅にはいないので、うさぎとのコミュニケーションはとれません。
それまでにも同じような期間、家を空けたことはあるのですが、上海から帰ってくると、うさぎがすごく鳴きます。
カゴから出してみると、足元で「ぶぅぶぅ」言いながらずーっと8の字にまわります。
撫でてみるとしばらく止まりますが、また「ぶぅぶぅ」言いながら8の字にまわります。
30分近く僕の足の周りをまわっていました。
母に聞くと、僕が留守の間、家の表に出した時にふと思い立って、猛ダッシュで今まで踏み入れたことのない場所までたくさん走り回っていたそうです。
「あんたを探したはったで」
二足で立って左右を見渡しながら、意を決してたくさんの場所に踏み込んでいったそうです。
おかげで家に帰すのが大変だったらしいのですが、なるほど先ほどの8の字に合点がいきます。
うちのうさぎはさみしがり屋ではないので、今までは気にしていなかったのですが、歳をとったのか、彼も人恋しくなったのでしょうか。
彼は養子に来る前に一度「一緒に住めない」の判決を下され、他の家に引き渡された経験があります。
子供が生まれるので、うさぎの毛で喘息持ちにならないようにとの実家送致だったようですが、その家でも帰りの遅い家族をただ待つ生活を送っていたそうです。
実のお父さん、お母さん、同時に生まれたであろう兄弟姉妹とも引き離され人間と生活を始めても、彼にはちゃんとした居場所がありませんでした。
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独立心が強いので、抱っこを嫌いますが、たまに母親に抱かれる幼子のように安らかになります。
今では、誰よりも偉そうに「おい。飯!」と王様のような態度をとっています。
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