自分の道

われわれが決定的な手段を講じて、いわゆる「自分の道」に踏み入るとき、突然ひとつの秘密がわれわれの前に姿を現す。 曙光 484 序

何かを始める時、たいてい抵抗が起こるものです。

誰か賛同者を求めて、いろいろと公言して、それがよほどいいことであっても、単純にわかりやすい「都合が悪い」といったことから、「え、お前がオレより偉くなんの?」といったようなことで、抵抗が生まれることすらあります。

もちろんただ単なる恒常性維持の抵抗感、という場合もあります。これは自分も相手も持っているものです。

そういった時に、うまくやるひとつのポイントがあります。

現状を快適であると判断し、リスクを冒さず現状を維持しようとする恒常性維持機能からくる自他の抵抗感にたいしてうまくやるためのポイントです。

それは事後報告です。

やりたいことは先にやってから「事後報告」

本当にやりたいことについては、

「やろうと思ってるんですけど…」

といったことを、「何かやり始める前」に人に相談してはいけません。そういった場合はたいてい「やめておけ」ということを言われることになります。

最終的な判断や決断は自分しかできないのですが、人にこんな相談をすると、たいてい気持ちが弱って結局やらないことになってしまいます。恒常性維持の抵抗感から、諦める方へ導かれてしまいます。

退路を断つような事柄の決断と実行

そういうわけで、人に報告したり、相談したりする場合でも、「退路を断つような事柄の決断と実行」だけ先にやってしまって、それから事後報告、ということをした方がいいでしょう。

例えば、僕は二十代中頃にイスラエルとパレスチナに行きましたが、通常の神経をしている親なら「もっと安全な所に行きなさい」と他の地域をすすめてくるでしょう。

我が家は昔から自由ですから、ネパールくらいは別に何も言われないと思いましたが、さすがに観光とはいえイスラエルとパレスチナは「渡航の是非を検討してください」や「渡航の延期をお勧めします」というレベルの地域です。

我が家のみなさんは普通の神経をしていませんが、さすがに難癖つけられるかもしれない、と思ったので、先に航空券を取ってから、渡航日前日に「明日からイスラエルとパレスチナ行ってくるわ!」と報告しました。

そうすると、まだまだ日があれば「キャンセルしなさい」ということが頭に浮かぶかもしれませんが、前日となると、例えば、「搭乗時間まで縛り付けてまで諦めさせるようなことか?」というような思考が働き出すはずです。

そういうわけで、「一応毎日連絡をよこしなさい」とだけ言われたものの、止められはしませんでした。

退職届を出してから報告

退職して起業も同じことです。

退職届を出してから、「退職届を出してきた。もうちょいしたら会社作る」と報告しました。

同じ決定事項でも、タイミングとその状態によって、相手の意見も変わります。

ポイントは退路を断つような決定と実行によって状態を変化させてから、「事後報告」です。

そうすると、相談されてしまった人は、「実行するかどうか」という点で、「現状を変えたくないし、不安にもなりたくないから邪魔をしよう」という思考パターンから、「決まったことは仕方ないから、何かできることはないか?」という思考パターンに変わりやすいということです。

行動を決定するとき

これは相手だけでなく、自分自身の行動を決定するときも同じです。

「不安なのは嫌だ」

「今の状態から、不安や不快感を取り除くにはどうしたら良いのか?」

という、アイツの機能を最大限に逆手に取ってやるということです。

簡単にいえば、デートに誘う相手に「いつがいい?」と聞くよりも、こちらで日にちも場所も決めてしまうということです。なんなら連絡する前に、何か予約やチケットなどを取っても構いません。

今週末が無理なら「来週末ならいける」というような答えが返ってくるでしょう(脈があるならですが)。

自分の道 曙光 484

Category:曙光(ニーチェ) / 第五書

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