時間と主観

主観と客観というふうに、ひとまず私から見た場合、外から見た場合、というように分けて考えるような手法は、「人に説明する場合」に限って意味をなしうるだけで、本来的に主観しかない。ということは主観も客観もない。しかしながら、いわば客観というのは「説明のための仮止め」にしか過ぎないはずだが、いつしか客観を軸に物事が語られるようになった。

確実に「存在するもの」として、時間は絶対にある、というような事を聞くが、そんなことは「対外的」に証明することもできなければ、何かしらの観測結果がその証拠となり得ることもない。こんなことを言うと即座に懐疑主義的で、証明ができないのだから「ない」というように主張するのだろう、というようなイメージが湧きそうだが、特に「すべてを疑う」という立場でもなければ、「不可知論」を唱えるつもりもない。

いくつかの可能性があって、そのどれが正しいか、というようなことは哲学においては意味を成さない。哲学に限らず「誰かを説得」しなければならないと「思い込んでいるもの」以外は「正しさ」の証明は一切不要である。それが必要になる局面は、哲学に世間的な「価値」をつけて、誰かに売りつけようとするような時くらいだろう。

客観の誤謬

客観視する、というのはどう転んでも、外側で起こっていることを認識できる間口は「主観」しかありえないのに、それを自分以外のところで起こっている何かとして、「自分の中」でイメージしていることにほかならない。

外で起こっていることを純粋に客観的に「存在している」と認めるのは「主観」でしかないはずで、「客観的」という属性を帯びた主観でしかないことは明白である。

地球の裏側で紛争が起こっている「ニュース」を観ても、本当に起こっているかはわからない。わからないというより目の前で起こっていない限り、まず事実としては説得力に欠ける。そして実際に目の前で起こっていてもそれが「紛争」であるかどうか、という属性を決めるのは、あくまで主観的な「自我」でしかない。紛争だと思えば実は映画の撮影だった場合、映画の撮影だと気づくまでは「紛争」という属性を設定し、撮影だとわかれば「撮影」という属性が付く、しかし、事実としては「大きい音が鳴った」という事実であり、それは単に「大きい音が鳴った」以上でも以下でもない。さらに大きい音が鳴った、という「記憶」でしかない。仮に時間が「流れて」いるのであれば「大きい音が鳴った」⇒「紛争」という関連思考のプロセスの間に、「時間」は経過している。「大きい音が鳴った」ということは数秒前であれ、それは「過去」となり、現在ではない。ということは「紛争」と認識させているのはすべて主観であり、「自我」の描いた現時点での「演出」でしかない。

時間は存在するのか

時間ということを考えた場合に、現在、過去、未来という言葉がすぐに出てくるが、現在しかない。客観性が誤謬ならば、過去や未来は現在の自我による演出でしかないことは明白である。過去も未来も「イメージでしかない」ということは当然のことだが、「絶対的に時間は流れている」と言い切れるかどうか、さらに深く考えてみよう。

あくまで絶対的な空間や時間が「自分の外側」に「存在」していて、自分はその中にぽつんと存在していて、空間や時間を「認識している」というのが一般的な意見のようだが、そうとも限らない。

自分が存在していて、周りが即時的に自動発生している、というのが本来の姿ではないだろうか。時間は「現在」しかないはずである。時計をずっと見ていても、それは1秒前は時計が1秒前を指していた、という「記憶」によって、連続性があるように自我によって「見せられている」と言ったほうが正しい。「今」しかない、「今」しか認識できないはずなのに「連続性」があり「時間が流れている」ふうに「感じている」、というのはどうだろうか。ということはその記憶も含めて「今」同時にそれが発生、というよりも記憶も含めての状態が「ある」ということにしかならないのではないか。

自らの存在自体は、「客観的な証明が不要」である。誰かに「違う」と言われようが、多数決で「存在していない」と決められようが、「ある」という事実自体はぐらつかない。これを「事実」と呼ぶにも本来的には語弊があるだろう。事実や存在というよりも、状態と言ったほうがより正確で、ある状態とその状態を感じている受け皿、という感じになるだろうか。

それ以外の対象は、自分と「どういった点で」、「分離」されているのだろうか、分離される場合には「客観」が必要になるのではないか。全てが主観であり、客観は他者への説明のための「仮止め」でしかない。すべてが主観なので、いかようにも決められる上に本来的に「分離」は成り立ち得ない。

はずだがいかがだろう?

認識だけでなく、時間も「コペルニクス的転回」をしないだろうか。


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