専門家の名誉のために

ある人が、専門家でもないのに審判員の役割を演じるや否や、それが男性であれ、女性であれ、われわれは直ちに抗議すべきである。ある事物やある人間に対する熱中と有頂天は何ら論拠にもならない。嫌悪や憎悪よりもやはり論拠にならない。 曙光 372

「褒め教育」や「愛され何とか」みたいなものについて書こうと思いつつ、曙光のページをめくるとちょうどぴったり良い項目になっていました。

さて、「ほめる」や「威厳と恐怖心」などなど、今まで「褒め」については幾度となく書いてきましたが、基本的な内容は同じものの、なぜ「褒めない教育」の方が良いのかということについて綴っていきましょう。

もちろん人からの賞賛を欲する人が醜いという面もありますが、もしかするとそんなことを思っているのは僕のようなタイプの人だけで、大半の人は「自分も賞賛される側に立ちたい」と考えるくらいなのかもしれません。

昔から「褒め」自体が嫌いで怒りの対象だったのですが、こうした怒りの呪縛も自尊心を軸にして考えることで突破することができました。

今では自尊心自体が不要の境地にいますので、どちらでも構いません。

それでは、なぜ褒めない教育の方が良いのかを、ドーパミン的な側面から考えてみましょう。

褒める→ドーパミン。だから褒めよう
短絡すぎるね

専門家でもないのに、「褒めるとドーパミンが出て~」みたいな話をする時点で、B層なのですが、こうしたドーパミンなどの理屈自体がある程度正しくても、結論へのアプローチがおかしいことがよくあります。

まず基本ですが、ドーパミンは前駆体です。まあ大まかには「やる気促進」だと考えてもらっていいでしょう。

で、褒めると喜ぶ(アイツが安心する)ということで、「これをやったら褒められるかも」といった状況になると、喜んだ記憶を思い返して、また褒められたときの快感を得たいと想起するため、「やる気」がでるというのが基本構造です。

まあこれを利用したければそれでも構いません。

ギャンブル依存症もアルコール依存症も、ほとんど構造は同じです。

とにかく快感の記憶があって、快感を得れるという予想があって、快感を得るための行動を起こすために、先に「やる気」が起こって、実際に行動を起こすわけです。

正確な記憶じゃなくても、例えばもしかしたら「今夜いけるかもしれない」と本能に衝動を与えることで、行動を促進することができます。帰ればいいのにいつまでもお姉さんに粘っている人はそんな感じです。

だから終わったら冷たいとかそういうことになります。その時点で「やる気」は切れていますからね。

褒めないとどうなるか

で、今まで何度かいっていますが、褒められて喜んでいる時点で、幸せの条件を他人に依存し、他人任せにしているという構造になっています。

「いや、オレは褒められるために結果を出す。そのために日々努力しているんから、依存なんてしていない」

と思う人がいたら、そもそもそういう話ではないことを理解してください。

快感の成功パターンみたいなものが「他人からの賞賛」になっている時点で、他人が必要になります。

そして他人の感情など不安定なものです。あれに関心があったかと思えばこれに変わっているというようなこともよくあります。

ということで、時期によって「すごい!」とかいっていた人も、その分野に関心がなくなれば、「ああそうですか」くらいに変化します。

そんなものを条件にするのは馬鹿げています。

で、幼いころから特に「無駄に褒める」ということをされずに育てられると、その人はどうなるでしょうか。

「快感のパターン」を自分で作り出す

俗っぽく言えば「快感のパターン」を自分で作り出すようになります。

人から褒められて喜ぶのではなく、自分自身で納得すれば喜ぶという構造が出来上がります。

だからこそ一流の職人さんなどは、いくら専門家でもない素人が「すごいですね」と褒めたところで、「ありがとう」と返しつつ真には受けないことがほとんどです。

そうした人の至高の瞬間は、自分自身で納得のできる最高のものができた瞬間です。作曲家などでもそうでしょう。

なお、褒めないほうが良いですが、逆に無下にするとか、怒鳴りつけるということもしないほうが良いでしょう。ただ信頼するだけ。それだけで十分です。

褒めて伸ばすみたいなことをしてると、大人になっても「すごいね」と言われて、「はい!僕やったらデキる子なんで!」というような人間になってしまいます。

こういう人は、そのうち「褒められたくて仕方ない」ということで水商売の店に通うことになるでしょう。

褒められて喜ぶ、褒めてもらえるから「店に行こう」という「やる気」が促進される、そういう構造の呪縛の中から逃れることができなくなってしまうのですから。

専門家の名誉のために 曙光 372


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