マスキング効果

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マスキング効果は、ある音が他の音によって妨害・遮蔽されて聞えなくなる現象。2つの音が純音、周波数の差が小さいほどこの効果は大きい。一般に低音は高音をよく遮蔽するが、高音の低音に対する遮蔽効果はそれほど。

このマスキング(masking)は聴覚だけでなく視覚や触覚などでも見られるが、最もわかりやすいのは聴覚マスキング(auditory masking)である。

聴覚マスキング

マスキング効果が大きいときは、音の強度を大きくしなければ聞き取ることができなくなる。マスキング効果の程度は、他の音の存在によって最小可聴値(threshold of hearing)の上昇具合で知ることができる。

マスキングが起こるためには、当然に「マスクされる音」と「マスクする音」が必要になるが、これら両者の周波数と強さを変化させマスキング量を測定した場合、次のような一定の傾向、特徴がみられる。

  1. 高周波数音は低周波数音をマスクしにくいが、低周波数音は、高周波数音をマスクしやすい
  2. 周波数の近い音ほどマスキング量は大きい
  3. 周波数が近すぎるとうなりが起こるためマスキング量は減少する。これは倍音でも同様のことが起こる
  4. 周波数によって効果は異なるが、「マスクする音」の強さが大きくなるとマスキング範囲やマスキング量は広がる

音声のデータ圧縮

音声圧縮にもこの現象を利用してデータ量を小さくしようという技術が使われていることは有名である。また、マスキング効果を応用した例として、ボーカルの特訓で「音源を流しながら歌って、音がずれてなければ自分の声だけが聞こえる」というようなものがあるが、これがわかりやすい例のひとつとして考えられるだろう。

こうしたマスキング効果を利用して、音声圧縮記述が進んだ。これは、結局、音も手抜きで聞いているということを示唆している。しかしながら、聴覚の感覚を発達させると、本来マスキングで捉えているような「だいたい」の知覚を超えて、細かな音の差異がわかるようになり、だいたいどれくらい音声圧縮されているかというのもわかるようになってくる。

具体的なビットレートの数値までは当てられなくても、どちらのほうが高圧縮データであるかというところくらいはわかるようになるはずである。ロックやポップスなどでドラムの音が入っている場合はハイハットなどのシンバル類に注目して耳を澄ませてみるとその違いがつかめてくるかもしれない。

可聴音域や音の全体構造について「ただ心配なのは音色である

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Category:心理学

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