ビジネス研修に生半可な心理学

ビジネス研修に生半可な心理学が多用されています。チャルディーニやザイアンスのみならず、マズローなんかも出てきますね。

別にそうした心理学をの分野を教えてもいいのですが、ちゃんと伝えないと、その目線でしか考えられなくなります。

返報性や一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性などのチャルディーニの法則やザイアンスの単純接触効果(ザイオンスの単純接触効果)をはじめ、マズローの自己実現理論の欲求段階説(五段階欲求)などがよく研修などで使われています。

残念ながら、それを意識している限り、修めたことにななりません。

特定の心理効果を意識の上に保っているだけで、まだまだ不完全です。

本当は人をコントロールしようとする試み自体が間違いだと思います。

(心理学を駆使して人をコントロールしようという輩のために、心理学コーナーを設置しました。「心理学 一覧」)

雑誌程度の心理学の知識

研修で教える側も大したことはありません。

試しに「『ユングの元型論』について教えてください」とでも言ってみましょう。

マズローなどを用いるのはいいですが、あくまでマズローを超えることはできません。

あの有名な五段階は、あくまで自我の範囲でのお話。

存在の認識をどう捉えるかによるので、あの表はひとつの目線としては良い表現ですが、それはあくまで自我の範疇です。

続きは「自称心理学者のニーチェ」か「心を極めた男 ブッダ」にでも聞きましょう。

その程度の心理学の学習レベルでセミナー

その程度で学校を出たての新入社員や、スキルアップ希望の勤め人を教えること自体も僕は危険だと思っています。

大学院で心理学を学んだとかそういうことではなくて、また聞き程度の軽い気持ちでやっているのが危険なのです。

知識だけでは困ります。

もし、心理状態が変化してしまった時に、修正できるのか、という点を強調したいですね。

僕は師匠もおらず、上下関係が苦手な性格ですが、師弟関係自体は悪いことだとは思っていません。

知識があるだけでは師匠のようになってはいけません。

まず変化球的質問が来ても基本的には答えられなければなりません。

そして、教えられた側が変な方向に行きかけている時に、修正できる能力があるから師匠なのです。

そして、本来師の器にある人は、スケベ心や自分の自尊心のためには人に教えたりしません。

「詳しいことは専門家に聞いてください」

そんなことを言うくらいなら、人に学術的なことを研修しないでいただきたい。

あのマズローの表の危険性

あのマズロー自己実現理論にある欲求五段階説の表(生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求(所属など)、承認欲求、自己実現の欲求)には危険性が潜んでいます。

ひとつはそれを根拠に上下やヒエラルキーができてしまうことです。

「あいつより欲求の段階が上だから、私のほうが人間としての値打ちが上なのだ」

という意識が芽生えてしまうかもしれません。

これは

「あの人の方が霊的レベルが高い」

などといっている、変な宗教やスピリチュアリズムと同じ構図です。

それが差別を生み、いじめを生み、戦争を起こすひとつの要因となるかもしれません。

生理的欲求や安全の欲求

「まず生理的、安全の欲求を満たさねば、いくらサービスしてもだめだ」

ということで、無意識に生存の安全性に意識がいってしまう場所でのサービス(「飛行機の中(逃げられない)」や「ホテル(寝るから)」)などは、他のサービス業より安心感を感じてもらわなければならないから、高いセキュリティと、より丁寧な接客などが必要になる、など、いい方向に考える材料になればいいのですが。。。

余談ですが、そう考えると有名な京都のタクシー会社の創業者は、いいところに目をつけられたかもしれません。

半密室の車内において、同じ空間にいる人が、マナーの悪い人より、ホテルマンのような人の方が安心できるのですから。

尊厳・自尊心と承認欲求

どうせなら100冊読んで

変な研修で困惑しないためには、教えられたあとコンビニに売っているような本でいいので、まずは20冊くらい読んでみましょう(書籍でなくても構いません)。心理学であれば心理学の本、マーケティングであればマーケティングの本です。

そうすると結構内容がかぶっていることに気づきます。

みんなまた聞きなのです。

でも、そんなに語られているのだから、本当なのか、と思ってしまいますが、たくさん出ているのは出版社の都合です。

「このテーマで書く」となれば、著者はそれ系の本を探してきます。

内容は結構使い回しですが、作者によって多少の表現の違いや解釈の違いがあります。雑誌などの記事であれば、推定、傾向の範囲のことが断定されていたりすることに気づきます。

いろいろ読めば、共通項が見えてくるはずです。

どうせなら、関連したものも含めて100冊くらい読んでみましょう。

そうするとかなり見えてくると思います。

そして、理解できたのなら、軽く実践してみましょう。

そして、その知識を捨ててしまいましょう。

正確に言うと記憶したものを消去することはできませんが、ひとまず意識せずにすごすように心がけてください。

「意識するな」と言われても、おそらくはじめの方は無理だと思いますが、ゲームでもして気を紛らわせましょう。

話はそこからです。

無意識レベルで消化できたとき、本当に必要なら、意識していなくても必要な局面ですぐにその知識が自分を助けてくれます。

Category:miscellaneous notes 雑記

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