アルコールの影響

ひとりでいる時は全く酒を飲まなくなったのですが、あえて飲んでみたらどうなるのだろうということで、飲んでその様子を具に観察するということをしてみました。

つまり、おそらく最後になるであろう独り酒です。

ただ、動機が普通のそれとは大きく異なります。アルコールは身体や気分や頭の働きにどう影響するのだろうというようなことを観察するために飲んでみるということなので、やけ酒でもなんでもありません。

たまに宗教屋が「酒を飲んではならない」ということを経典の受け売りで言いますが、彼らがカツラをかぶって祇園で飲んでいることはバレています。人は他人に禁止されても、大抵それに反発します。なぜなら自分が相手にコントロールされているように感じるからです。それにただ言われただけなら「学校には白い靴下でしか来てはいけません」という意味不明な規則のように感じてしまいます。

どういうわけで悪いか、とかをいくら聞かされても、「百聞は一見に如かず、兵は隃かにして度り難し。臣願はくば馳せて金城に至り、図して方略を上らむ」ということになります。すなわち、考えるよりやってみて感じたほうがいい、ということです。

たいてい、こういうことを聞くと、「なぜなのか」ということで思考がめぐります。そうなると色々なデータを持ち出して、どうなのかを考えてなんとか「ダメなんだろうなぁ」ということを自分に説得しようとしますが、そんなことは無駄です。

 いい/悪いはあまり考えずに、どういうことが起こっているのかを観察してみました。普段はビールを5リットルくらい飲んでも平気です。しかし、たった350mlに集中してみるということにしました。

アルコールの味

普段ワインなどはよく味わって飲まれますが、僕はソムリエの資格がどうのには関心がなく、ワインもあまり飲まないので、それほど味わうということはしたことがありませんでした。珍しい酒やカクテルなどであれば少しは味に感覚を集中させている時もあったと思いますが。何故か誕生日には日本酒や焼酎がよく贈られます。頂いておいて恐縮なのですが、アレ系はあまり好きではありません。特に芋焼酎は全然口に合いません。あのもわっとしたアルコール感がたまらなく気持ち悪く、アルコールには強いもののニオイで吐きそうになります。

ビールにはそんなにアルコールが入っていないので、あまり意識したことはありませんでしたが、それまでにも日によってはアルコール感がすごくわかる日がありました。ビールは鮮度というのか製造からどれだけ日が経っているかで味が全然違います。近所の酒屋さんに賞味期限ギリギリの瓶ビールを数本もらったことがあるのですが、全然ビール感がありません。発泡酒並みに味が薄く、ある意味でクリアな味です。シャバシャバと言ったほうが正しいかもしれません。

今回はまだまだ期限まで余裕のあるものを選んで買いました。そしていよいよ文字通り蓋を開けて飲んでみると、まず麦芽ホップ感がして鼻のあたりからアルコールのニオイが抜けます。味は化学的です。あの消毒のニオイ通りなのですが、実際は味というよりニオイでそう感じているだけのような気もしました。普段人と飲んでいるときは、あまり味には集中していないので、それほど感じている意識はありません。もちろんアルコール自体はなんにも美味くありません。

アルコールによる意識の変化

酔うと気分が変わる、というのはかなり前から無いのですが、今回も気分自体は特に変化しませんでした。ただ一つ、集中力は確実に低下しました。そして、低下する集中力を何とか元に戻そうとすると、その分だけ早く酔いが回ったように思います。すなわち、集中しようとすると、余計に集中が妨害される、といった現象が起こりました。

昔、アルコールにより感情が増幅されるというようなことを見聞きしたことがありますが、元の感情があまりないと増幅はしませんね。力を抜けば抜くほど、特に影響はありませんでした。

時折、ふっと考えやイメージが湧いたりして少し意識が持って行かれそうになりますが、それもだんだんぐらつきはなくなっていきました。

体の変化

たくさん飲むと、体温が上がったり呼吸が荒くなったりしますが、感じた変化といえば胃腸に少し響いたくらいです。ある程度時間が経過すると胸焼けがしてきました。ついでに視界もぼやけてきました。酩酊というわけではないのですが、多少ピント調節が狂うような感じです。元々乱視気味ということが影響しているのかもしれません。

何より「酔い」について意識を集中して、そのプロセスを観察していると早く酔います。ビール350mlにも関わらず、胃腸の反応や視界のぼやけ方は普段なら2リットルくらい飲んだ時くらいの感覚になりました。

そして醒めるのも一瞬です。一般的には350mlでも分解に数時間はかかるそうですが、意識や体の変化は30分もかからずに元に戻りました。

ただの集中力の低下

結果的に感じたことは、ただ集中力が低下して、体にもダメージがくることです。楽しくなるわけでも落ち着くわけでもない、という感じですね。昔はそうでもありませんでした。元の感情があまりないのだから増幅もしようがない、ということでしょうか。

頭が働きにくくなると、それだけ考え事をしなくてもいいので、一見楽なようにも思いますが、放っておくとあちらこちらにいろんな思考が飛び交い抑えが効かなくなります。それが楽しいことならもちろん楽しいでしょうが、楽しいことだけに意識が飛んでくれるかはコントロールできません。

何かを観ながら、楽しみながらだと、自分の思考だけでなく周りからの影響もあって楽しいかもしれませんが、どうしてもそれも他人任せになります。

普段言わないことを言うような人がいますが、それだけ普段から自分の感情を抑えつけているのでしょう。アルコールが入った時にそのストッパーが外れるというのは結局普段は意識して止めているものを自分ではコントロールできなくなっているという状態となりましょうか。じゃあ最初から止めなければいいですね。

どうして止めているのでしょうか。それはなにかの不服と、でもそれを表に出してはいけないという葛藤があるからですね。この場合両方ともおかしいのですが、一番の問題は不服で、これはなにかの思い込みがあるからです。特に不服がなければ表に出していいことばかりですから、抑える必要もありません。

飲酒は結局集中力を低下させるだけで、確かにあまり勧められたものではありません。「飲んではいけない」という激しい宗教ルールや「おいしく適量を」というやや寛容型、「百薬の長」という全肯定まで様々な意見があります。

ただ、誰々が言っているから正しいというのはある側面からの意見でしかありません。正しさを求めたら、どうせ論理上の行き詰まりに陥ります。そんなものは参考にもせずに無視して自分で感じてみればいいことです。


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